2026年5月7日(木)

トランプ2.0

2026年5月7日

ヴィクトリアの怒りはどこからくるのか?

「すべての人々に自由と正義を」のプラカード(筆者撮影 米東部ニュージャージー州)

 トランプは「イランに核兵器を保有させない」と繰り返し強調し、それを戦争の大義名分にしている。イランが核兵器を持てば、最初にイスラエルに使用し、最終的に米国に使うというのだ。

 ヴィクトリアは、トランプの発言を信じていなかった。トランプがイランとの戦争に踏み切った理由は2つあると言う――「ネタニヤフにまんまと乗せられたこと」および「エプスタイン文書から米国民の目を逸らすこと」であった。

「私は、トランプを1点だけ褒めることができます。彼は、最高の嘘つき(the best lier)です」

 ヴィクトリアは笑みを浮かべながら、皮肉を込めてこう述べた。

 トランプがイランの核開発放棄にこだわる理由は、MAGA(米国を再び偉大にする運動に賛同する人々)にあるのだろう。筆者がイラン攻撃に関して中西部インディアナ州インディアナポリス在住のMAGA支持者の男性に質問をすると、彼はイラン攻撃および石油輸出拠点であるカーグ島への地上作戦に反対であるとメールを返してきた。  

 しかし、彼はイランの核兵器保有には強い懸念を示した。トランプは、このMAGA支持者の懸念を見逃さなかった。

 トランプは王様で居続けるためには、MAGAに入った亀裂を修復して、再び一枚岩的な支持を得る必要があった。それには、イラン戦争における正当性を支持者に納得させることが不可欠であった。それに有効なのは核であったのだ。

 では、ヴィクトリアは今回のイランとの戦争で、何を優先しているのか。ホルムズ海峡の開放か、それともイランの核兵器開発放棄か。

 彼女は、両方とも重要だと述べたが、それ以上に「イラン国民の自由と民主主義」を強調していた。

 トランプの口からは、この言葉は出てこない。ホワイトハウスでの記者団からの質問に対して、イラン海軍やミサイル能力の破壊および指導部殺害から、最近ではホルムズ海峡の逆封鎖による主導権の確保について繰り返し「手柄」として語る。しかし、トランプは米国のリーダーとして、イラン国民の自由と民主主義についてはほとんど触れない。ヴィクトリアはこの点に関しても、トランプに対して強い怒りを感じていた。

トランプは「医者」か?

 トランプは4月12日、ベッドに横たわる病人の額に右手をあてて病を癒すイエス・キリストになぞらえた自身の画像をSNSに投稿した。だが、支持者たちからも非難を浴び、画像を削除した。この件に関する記者団からの質問に対して、トランプは「自分を医者として描いた絵だと思った」と答えた。

 ヴィクトリアは、このトランプの回答について次のように語った。

「トランプは、自分をイエス・キリストになぞらえた画像を気に入ったので投稿したのです。おそらくトランプの側近が、誰かがドクトリング(doctoring:都合のよいようにこっそりいじること)をして画像を作ったと説明したのを、トランプはドクトリングという言葉の意味を理解できなくて、ドクター(医者)になってしまったのです。ネット上で、トランプは笑い者になっています」

 トランプがドクトリングとドクターを誤って使用したのかは不明だが、11月3日の中間選挙に向けて、この画像で福音派やカトリックの有権者の票を失う可能性が高まった。

 ピュー・リサーチ・センターによれば、2025年2月、白人の福音派の66%がトランプの政策を支持していたが、26年1月の段階では、その数は58%に減少した。また、白人のカトリックにおいては、51%から46%に下がった。

 ローマ教皇レオ14世に対する批判に加えて、自分をイエス・キリストの奇跡のイメージに重ねて描いた画像を投稿したことで、今後、さらに白人の福音派、カトリックおよび福音派以外のプロテスタントの支持を失うかもしれない。


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