2026年5月8日(金)

World Energy Watch

2026年5月8日

 中東産油国とロシアは、OPECプラスが発足する以前、石油市場でシェアを争う競合関係にあった。ロシアは、OPECから協調減産を求められても、たびたび応じてこなかった。

 こうした関係が変わるきっかけとなったのが、14年のウクライナ危機である。ロシアは同年3月、ウクライナ南部のクリミア半島を併合し、欧米諸国から経済制裁を受けた。さらに、米国の石油生産量の増加を背景に、同年6月以降、原油価格が急落したことで、ロシア経済は大きな打撃を受けた。

 そのためロシアは、原油価格を回復させ、財政収入を増やす必要に迫られた。こうしてロシアは湾岸産油国との関係強化に動き、OPECとの協調を模索するようになった。この流れが、後のOPECプラス結成につながっていった。

 OPECプラスの結束は、22年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、さらに強まった。欧米諸国は、ロシアの戦費につながる資源収入を減らすため、ロシア産の石油や天然ガスの輸入削減に動いた。

 こうした中、OPECプラスは同年10月、原油価格を下支えするため、協調減産に踏み切った。原油価格の上昇は、産油国の財政収入の増加につながるため、生産量を協調して管理するOPECプラスの枠組みの重要性は改めて高まることになった。

UAEのOPEC脱退の狙い

 UAEはこれまで、OPECプラスの生産調整を通じて原油価格の下支えという恩恵を受け、石油収入を確保してきた。しかし今回、OPECおよびOPECプラスからの脱退を決断した背景には、生産割当をめぐる長年の不満がある。

 UAEは近年、原油生産能力の拡大に積極的に投資してきた。一方で、OPECプラスの協調減産の枠組みにより、実際に生産できる量は制限されてきた。

 UAEの原油生産能力は、19年の350万bpdから、25年には485万バレルへ拡大。これに対し、25年時点のOPECプラスの生産割当量は341万bpdにとどまり、生産能力との差は約140万bpdに広がっていた。この差が、UAEがOPECプラスの生産制限に不満を強める大きな要因となった。

 さらにUAEは、27年までに生産能力を500万bpdまで引き上げる目標を掲げている。OPECプラスにとどまり続ければ、生産能力と割当量の差はさらに広がる可能性が高い。つまり、OPECプラスはUAEにとって、原油価格を支える重要な枠組みである一方、自国の増産戦略を妨げる制約にもなっていた。

 UAEがOPECを脱退してまで増産を急ぐ理由は、短期的な石油収入の拡大だけではない。背景には、将来的な石油需要の伸び悩みへの危機感がある。


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