2024年12月22日(日)

モノ語り。

2024年11月3日

 9月6日、JR大阪駅北口に「グラングリーン大阪」がオープンしました。青々とした緑の芝生が広がり、流線形の大屋根のある野外ステージなど、都心の駅前空間としては日本で他に類を見ないものになっています。

 私もこのプロジェクトに参画していたので、このところ大阪通いが続いていました。経済の地盤沈下が指摘されることもありますが、東京と比べても大阪は活気があります。そして人と人の距離が近く、他者を受け入れてくれる寛容さがあります。

 この仕事で意気投合した方に教わったのが大阪「出入橋きんつば屋」です。JR大阪駅南口から歩いて10分ほどの場所で、ビルの横に大きくお店の名前が書いてあります。対応してくれたのは3代目の白石誠治さん(59歳)です。

(立花 智 以下同)

 きんつば屋は1930(昭和5)年に、白石さんの祖父が創業しました。お店の名前にもなっている「出入橋」は欄干だけ残して道路になっていて、その上には高速道路が走っています。

 「創業時には、店の目の前は運河(梅田運河)でした。堂島川につながっていて、船で物資を、大阪駅前まで運んでいたんです。当時は、日本一の貨物取扱量があったそうです。『出入』という名前も船の出入が多いことからついたと聞いています。その船の荷物の積み降ろしをする人たちに向けて、きんつばを販売することにしたのが店の始まりです」

 さすがは「水の都」大阪というエピソードです。そして、この運河で運ばれた荷物を集積していたのが、かつて梅田貨物駅のあった「グラングリーン大阪」なのです。何ともご縁を感じます。


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