2025年3月31日(月)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2025年3月27日

 2025年1月7日の記事「【世界とずれまくる日本の物流】荷物を載せるパレットの標準化図るも国内だけの狭き視点、アジア標準ともほど遠い」で筆者は、パレット発祥の地である米国や、最大のパレット利用地域である欧州、そして近年パレットの普及が著しい中国のパレット運用の現状を鳥瞰した。グローバルな標準化のトレンドとして、欧米型パレットへの移行が不可欠であると指摘した。

(scAner_KM/gettyimages)

 そこで今回は、さらに理解を深めるために、日本のパレチゼーションとユニットロードシステムの歴史を辿りながら、それがどのように現状につながったのかを述べることとする。

 尚、今回の執筆に当たって、物流博物館主任学芸員の玉井幹司氏に、「荷役近代化の父」平原直に関する資料を含む多くの情報を共有頂き、長時間の取材に応じて頂いた。この場をお借りして、ご協力に御礼申し上げたい。

 フォークリフトの大国なのに普及しない一貫パレチゼーション

 国土交通省主導の官民協議会「パレット標準化推進分科会」の一環として23年にNX総合研究所が224社の荷主企業を対象に行った「パレット標準化の実態調査」によると、社内の施設への輸送の71.7%、社外の施設への輸送の71.8%、保管の86.7%で、パレット化が実施されている。

 しかしながら、保管された後に出荷される貨物の54%がパレットのまま輸送されている一方で、46%が別パレットへの積み替えやバラ積みなどの手荷役が発生していることも判明した。欧米で進められているベンダー出荷→小売業者物流センター→小売業者店舗を通じて行われている一貫パレチゼーションが、日本ではいまだ十分に普及していなことが判明したと言って良いであろう。

 一方で、下の表1が示す通り、パレットの相棒とも言えるフォークリフトの世界では、日本のメーカーが世界市場で占めるシェアは、37.1%に及んでいる。日本は圧倒的なフォークリフト大国なのである。

 「【世界とずれまくる日本の物流】荷物を載せるパレットの標準化図るも国内だけの狭き視点、アジア標準ともほど遠い」で筆者は、表1の上位を占める日本以外の国々、すなわち米国、ドイツを含む欧州、中国では、輸送車両の標準化とパレットの標準化が並行して推進されていることを示したが、日本のパレチゼーションはどのような途を歩んできたのか、解明して行きたい。


新着記事

»もっと見る