前回の10月11日「〈コンテナの良さを理解していない日本の物流〉断絶する国際貨物輸送と国内貨物輸送の実態」で筆者は、国際輸送と国内輸送が断絶している日本発着の国際海上コンテナ輸送が、国際標準とも言えるトラックや船舶など二つ以上の輸送モードを利用したコンテナの詰め替え無しでの輸送とは根本的に異なっていることを指摘した。
そのような認識を念頭に、今回はお約束通り、日本におけるトラック輸送から鉄道や貨物へ転換するモーダルシフトと鉄道コンテナ輸送が進むべき途を探ってみることとしたい。
積み替えというロスをする日本の鉄道コンテナ輸送
前回筆者は、国際コンテナの日本国内輸送の多くが、港湾のコンテナターミナル後背地の物流事業者施設でのトラック、鉄道コンテナ、はしけ・船舶・フェリー等国内輸送モードとの積み替えを前提としており、荷主の工場や物流センターには直結していないが故に、グローバルな視点では二つ以上の輸送モードをコンテナの詰め替え無しに利用するインターモーダル輸送とは言えないと指摘した。
それでは、鉄道コンテナの日本国内輸送ではどうなっているのだろうか。下図をご覧頂きたい。
図1.が示す通りJR貨物は近年、貨物駅の高度利用による物流結節点機能の強化の一環として、主要貨物ターミナル駅内あるいは近隣への積替ステーションの設置を推進している。積替ステーションとは、一般のトラックと鉄道コンテナの間で貨物を積み替える場所とサービスを提供する施設である。
工場や物流センターのような荷主施設で鉄道コンテナの積み降ろしを行うには、鉄道用コンテナを固定するための専用緊締装置を備えた緊締車と呼ばれるトラックに鉄道コンテナを搭載して、荷主施設に持ち込んでいる。しかし、緊締車を保有している事業者の多くは、旧通運事業法にもとづいて鉄道による物品運送に伴う貨物の積み下ろし・集配・運送取り扱いなどを行ってきた通運事業者である。その事実が、一般トラック運送事業者を利用してきた荷主の鉄道輸送へのモーダルシフトを阻害しているとされ、この積替ステーションというコンセプトに至ったのであろう。
しかしながら、図1.が示している通り、このコンセプトは、トラックと鉄道コンテナの間の積み替えという余分なコストとリードタイム、そして貨物事故のリスクを伴う作業を前提としており、ベストプラクティスとは言えないというのが、筆者の考え方である。