2025年3月27日(木)

プーチンのロシア

2025年3月25日

 ロシアによる侵略を受け続けるウクライナで、米国のトランプ大統領が旧ソ連の諜報機関、国家保安委員会(KGB、現ロシア連邦保安庁)による工作の影響を1980年代から受けてきたとの言説が広がっている。トランプ氏がロシアの影響下にあるとの指摘は同氏の第一期政権の時代からくすぶっていたが、1月の大統領就任以降、徹底してロシア寄りの姿勢を示すトランプ氏の言動を背景に、多くのウクライナ人が共感しているもようだ。

(ロイター/アフロ)

 トランプ氏は否定するが、敵国の要人をあらゆる手段で篭絡するのはソ連、ロシアのお家芸で、同じ旧ソ連のウクライナで、そのような見方が一層真実味をもって受け止められている側面もありそうだ。

KGBの〝傀儡〟

「モスクワから引かれた赤い絨毯は、ワシントンの大統領の家にまで伸びているようだ」

「トランプがKGBの手先ならば、これこそが今彼がプーチンを救おうとしている理由だろう」

「こんな偶然があるものか!すべては真実だ!!」

「トランプ氏の行動こそが、彼がKGBの傀儡であることを明らかに裏付けている」

 トランプ氏とKGBの関係を指摘するウクライナメディアや、ユーチューバーらのチャンネルには、その内容を支持するウクライナ語の書き込みが多数並ぶ。

 現職の米大統領がKGBの影響を受けていた――。にわかに信じがたい主張だが、そのような指摘は決して新しいものではない。2017~21年の第一期政権時から、ロシアに親和的だったトランプ氏の姿勢も相まって、同氏とロシアの関係性を疑問視する声が相次いでいた。

 特に代表的なものは、米国の調査報道ジャーナリスト、クレイグ・アンガー氏による主張だ。アンガー氏はニューヨークやボストンなどの地方メディアの編集局長などを務め、海外から米政権幹部への資金の流れなどを抑える調査報道の手法で、複数の書籍を出版している。ブッシュ元大統領への中東からの資金の流れなどを糾弾する本などでも知られている。

 トランプ氏とロシアの関係をめぐっても、19年、22年と、2冊の本を出版している。トランプ氏の大統領就任以降、ウクライナメディアの取材などにも積極的に応じているもようで、アンガー氏が登場するウクライナメディアの動画は100万回以上の再生回数を記録していた。視聴しているのはウクライナ人だけではないが、いずれにしても高い注目を集めている。


新着記事

»もっと見る