2025年3月31日(月)

プーチンのロシア

2025年2月28日

 米国のトランプ政権が強行するロシア寄りの停戦交渉の進展に、ウクライナの人々が強い虚無感に襲われている。十倍の戦力差があるとされたロシアの猛攻に3年もの間耐えたウクライナだが、欧州全体に匹敵する軍事支援を提供した米国が支援を放棄し、ドローン兵器を操ってきたスターリンクによるインターネット網が遮断されれば、ロシアに抵抗し続けられる術はない。

(~UserGI15632523/gettyimages・dvids)

 トランプ氏の主張とは異なり、人々のゼレンスキーに対する支持は依然高いとされるが、前線で脱走が相次ぐ中、さらなる士気の低下は必至だ。ウクライナ国内では、バイデン政権下の対ウクライナ協調が「幻想であった」との声が上がっている。

私たちは夢を見ていた

 「バイデン政権は、米国はウクライナを必要なだけ助けると言い続けた。その言葉は甘美だった。しかし、現実はすべてが異なっていたのだ。そして私たちは、そのような甘い言葉に騙され続けることを甘んじて受け入れていたのも事実だった」

 トランプ政権のマルコ・ルビオ国務長官とロシアのラブロフ外相が2月18日、サウジアラビアの首都リヤドで直接協議を行った直後、あるウクライナの旧知の大学教授はSNSにそう書き記した。事態を正しく分析する彼の言葉だけに、その響きは痛切だった。

 彼は続けた。

 「ゼレンスキーやその周辺の政権幹部らが今回のような事態に陥った〝理由〟だったのではない。彼らは、私たちのそのような意識が生み出した〝結果〟だったのだ。責任は彼にではなく、私たちすべてにある」

 今回の侵攻に、ロシアに非があることは言うまでもない。ただ、その帰結として現在起きている事象を彼は、淡々と説明していた。

 「私たちは3年間もの間、世界が私たちを支援してくれ、それが永続するという幻想の中に生きてきた。しかし、残酷な現実を突きつけられる時は近づいている」


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