ガザ戦争の長期化に伴い、中東などのイスラム圏ではイスラエルを支援しているとの疑いを持たれたファストフード「マクドナルド」やコーヒーチェーン「スターバックス」など米欧企業に対するボイコット(不買)運動に歯止めがかからない。両社ともイスラエルの後ろ盾である米国を象徴する企業。日本企業も標的になるリスクがあり、対イスラエル関係では慎重な対応が必要だ。
現地スタバで2000人のレイオフ
3月初め、中東や北アフリカに1300ものスタバ・フランチャイズ店を持つアルシャ・グループ(本拠地クウエート)が2000人のレイオフ(一時解雇)に追い込まれた。同グループはスタバとの契約が25年におよび、従業員1万1000人の老舗だ。発表によると、「この半年間の厳しい経営環境の結果」として、従業員削減という困難な決断を強いられたとしている。
明言は避けたものの、イスラエル軍とイスラム組織ハマスによるガザ戦争で、パレスチナ人の犠牲者増大とイスラエル支援企業に抗議する不買運動に巻き込まれた末の決定だった。マクドナルドもこの20数年、中東地域で再三にわたって不買運動にさらされてきた。
例えば、2000年にパレスチナ自治区ヨルダン川西岸で起きた第2次インティファーダ(民衆蜂起)や03年の米軍のイラク侵攻、11年の「アラブの春」などでも不買運動が中東各地で起きた。イラク侵攻の直後には、ベイルートのマクドナルド店が爆弾攻撃を受けた。
米紙や中東メディアなどによると、今回はガザ戦争ぼっ発直後、イスラエルのマクドナルド店がパレスチナ人を支持しているとのデマが飛び交った。同店はこれを払拭する意味もあって、イスラエル軍と地元病院に10万食を無料で提供すると発表したが、これがボイコットの引き金になったようだ。同軍が連日ガザを無差別攻撃し、3月中旬現在、パレスチナ人約3万1000人が犠牲になった悲惨な状況が不買運動に拍車を掛けた。