「日本が同盟国として、必要な能力について正しい決断を下すと確信している」--。第2次トランプ政権発足後、初の日米防衛相会談が3月30日に開かれ、米国のヘグセス国防長官は記者会見でそう強調した。米国側から防衛費の増額について具体的な数字での要求はなく、政府内には安堵感が広がっているという。だが、それは違う。
ヘグセス長官は、2月の日米首脳会談後の記者会見で、石破茂首相がトランプ大統領を前に「防衛費の増額は米国に言われてやることではない。日本が自らの責任において決断すべきものだ」と発した言葉をそのまま切り返したに過ぎない。おそらく大統領の指示であり、日本が自発的に必要な防衛力を強化しなければ、同盟は揺らぐと言っていい。
こうした状況下で、陸海空自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」が発足した。本稿では、日本が米国との同盟、そして同志国との連携を強化し、抑止力を高めるための課題について指摘してみたい。
在日米軍の機能強化は確認されたが…
今回の防衛相会談で、在日米軍司令部の「統合軍司令部」への移行開始が確認された。ヘグセス長官は「機能強化によって、米軍と自衛隊統合作戦司令部の間での作戦調整が向上する」と語るなど、現下の厳しい安全保障環境を踏まえ、日米が連携し、指揮・統制能力を向上させていくことを確認した格好だ。
在日米軍を巡っては、コスト削減の一環で統合軍司令部への移行など強化計画の中止が検討されているといった米メディアの報道があっただけに、防衛省はひと安心だろう。ただし、移行完了は数年先とされ、それまでに防衛省・自衛隊だけでなくオールジャパンで取り組まなければならない課題が山積している。