SNSの影響力が増す中、容易に変えられないものがある。それは「社会」であり、「人間」だ。本記事では、歴史的な出来事から浮かび上がる人間の「本質」や「特性」を挙げる。それらを踏まえ、民主主義をどのようにして守り、育むのか、加えてこれからの日本が歩むべき道を考えるために必要な視点を提示したい。
「Make America Great Again」、「America First」──。
「自民党をぶっ壊す!」、「改革なくして成長なし」──。
「東京大改革」、(2016年東京都知事選での)「7つのゼロ」──。
言わずと知れた3人の言葉だ。
ワンフレーズで威勢がよく、実現に向けた明確な根拠はなくても、多くの人の耳に残っている。
これらは繰り返しメディアで報じられ(表示され)、ある種の〝力〟を持ち始める。
やがて、人々は熱狂し、信奉者たちによる集団が形成されてゆく。
「群衆」の誕生である。
だが、群衆は過激化、暴徒化することがある。扇動によって、熱狂し、群衆を形成している一人ひとりが理性を失ってしまうからだ。その先に待っているのは、暴力や破壊、略奪といった不可逆の事態である。
そうした「群衆」が起こした事件として、記憶に新しいのは、米大統領選挙後の21年1月6日に起きた「米連邦議会襲撃事件」だ。
引き金を引いたのは、「(大統領選の結果が)盗まれた」などと、SNSを使って自身の支持者の不満を煽ったトランプ氏であった。