2025年4月18日(金)

民主主義がSNSに呑まれる日

2025年3月19日

 2024年は、日本におけるSNSと選挙の関係が大きく変化した年となった。「SNS選挙」という言葉が広まり、SNSの影響力がより明確になった。

(KYONNTRA/GETTYIMAGES)

 これまで、日本の選挙ではSNS上の支持と実際の結果が必ずしも一致しないケースが多かった。例えば、東京大学の鳥海不二夫教授の分析によると、20年の東京都知事選では、X(旧Twitter)上で小池百合子氏に対する批判的な投稿が大部分を占めていたが、実際の選挙では彼女が2位候補の4倍以上の得票を獲得し、大差をつけて勝利した。

 しかし、24年にはこの傾向が変化した。7月の東京都知事選では、「石丸現象」が話題となった。前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏は、ショート動画を駆使してSNS上で支持を拡大し、165万の得票数で2位に躍進。現職との票差を縮めた。

 また、11月の兵庫県知事選では、パワハラ疑惑で一度失職した斎藤元彦氏が再選。マスメディアが疑惑を報じる中、斎藤氏を支援する「当選を目指さない候補者」までもが登場し、SNS上では「斎藤氏は既得権益と戦う候補」「彼を辞めさせたい勢力がいる」というナラティブが拡散され、インフルエンサーも積極的に支持を呼びかけた。ネットコミュニケーション研究所の調査によれば、斎藤氏のSNSアカウントや関連コンテンツへの注目度は他候補を圧倒しており、これが再選の大きな要因の一つと考えられる。

 NHKの出口調査では、兵庫県知事選において「SNSや動画サイトを情報源とした」と答えた有権者の割合が30%に達し、テレビ(24%)や新聞(24%)を上回った。SNS時代の選挙のあり方について、今年7月までに行われる参議院選挙を前に社会全体で議論していく必要がある。


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