兵庫県知事選で斎藤元彦氏の思わぬ再選に意気消沈していたマスコミが盛り上がっている。斎藤知事のSNSを用いた選挙運動が公選法違反の疑いが出てきているからだ。
公職選挙法では車上運動員(ウグイス嬢)と手話通訳者、要約筆記者、事務員だけに報酬を払っても良く、それ以外の人に報酬を払うと選挙違反になるという。ネットによる選挙運動を行なった者への報酬支払いを買収と明確に規定している。確かに、公職選挙法で、ビラ配りをする人に報酬を払ったら買収になるのだから、ネットを拡散した人に報酬を払ったら違反になるというのは分かる。
すべての候補者が、2024年7月の都知事選で166万票を獲得した石丸伸二氏のように自分でインターネットを駆使できる訳ではないので、当然にネットを熟知した人を雇うだろう。候補者の意図に沿ってネットの画像などを制作する人に報酬を払っても違反ではなく、制作している人はおそらく事務員の扱いになる。
これは、候補者の指示によってビラを作るのもネットの画面を作るのも同じという理解なのだろう。しかし、ネットの戦略全般を行うのはアウトだというのである。
戦略全般を企画・立案したという神戸のPR会社社長の話がすべて事実だとすればアウトになる。しかし、戦略全般と個別のアドバイスの境目は曖昧である。
候補者がかっこよく見えるように盛ったポスター写真があるが、盛り過ぎれば不自然になる。どこまで盛るのが適切かのアドバイスは許されるが、あらゆる画像全般のアドバイスはできないというのが規制の趣旨になる。
時代に合っていない公職選挙法
選挙は公平でなければならないから、現状の公職選挙法に従って選挙をしていただくしかなく、斎藤氏が違反しているのならば、その批判はしかるべきものだ。ただ、公職選挙法が現代のネット社会に合っていないのは明白とも言え、マスコミは、このままの規則で良いのかも問題提起するべきではないだろうか。