2025年1月12日(日)

経済の常識 VS 政策の非常識

2024年12月7日

 社長が求めたのは全国の仕事だったのではないか。社長は斎藤知事が「推し」で、ボランティアで応援したのだろうが、成功報酬は、神戸からではなく全国からの仕事だったと思う。

 ところが、大手だったら、こういう公職選挙法がらみのトラブルは起こさない。やはり大手に高い料金を払うしかないのか、ということになってしまった。しかし、大手と中小の差は、本来のPR能力の差ではなく、公職選挙法という摩訶不思議な法律をどうクリアするのかの能力の差であることを今回の疑惑が示したと言える。

〝疑惑〟は何を残すのか

 複雑な規制は、東京の大企業を有利に、地方の中小企業を不利にする。大手であれば複雑な規制をクリアするために社内の法務部門を強化できるが、中小にはコスト高になってしまうからだ。また、地方では個別の法に熟知する弁護士が限られる。規制は地方の活性化を抑圧するものだ。

 斎藤知事の弁護士は、この社長の主張について、「事実である部分と全く事実でない部分が記載されている。特に広報全般を任せたとか、そういう部分については全く事実ではない。(話を)盛っておられる」と答えている。

 話を盛ったか、盛っていないかは水掛け論にしかならない可能性もある。そうなってしまえば、意味のない議論になってしまうのではないか。意味があるとすれば、公職選挙法の在り方を、その本質と現在のネット社会の状況で考え直すことではなかったか。

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