2025年5月13日(火)

深層報告 熊谷徹が読み解くヨーロッパ

2025年4月28日

 景気後退に苦しむドイツ経済において、2025年がトランプ関税と中国ビジネスの低迷というダブルパンチに襲われる、胸突き八丁の年となる。ドイツの実質国内総生産(GDP)成長率は、23年・24年に続いて、マイナスになる可能性が指摘されている。

(Stadtratte/gettyimages)

「トランプ氏の考え方は完全に間違っている」

 トランプ大統領が欧州連合(EU)からの輸入品に20%の相互関税をかける方針を宣言(その後90日間停止)した4月3日、ドイツ連邦政府のロベルト・ハーベック副首相兼経済・気候保護大臣は記者団の前で声明を発表した。ドイツ政府は、日本政府と違って歯に衣を着せない。

 「トランプ氏の自由貿易についての考え方は完全に間違っている。経済グローバル化とは、財の貿易だけではなく、他の分野も含めて総体的に国際分業から恩恵を得ることだ。米国はこれまで、グローバル化によって最も恩恵を得てきた国だった。それを恣意的に、自分の手で壊そうとしている」とトランプ氏の関税政策を厳しく批判した。

 「交渉が失敗に終わり、相互関税が継続的に適用された場合、米国だけではなく世界の多くの国の成長率が押し下げられる。グローバルな経済危機の可能性もゼロではない」とも述べた。さらに「我々は、トランプ氏のご機嫌を取るために卑屈な態度を取らない。EUは、彼がプレッシャーを感じるように、対抗措置を着々と準備している」と警告した。


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