「50代になって将来が急に不安になった」「年金だけでは約2000万円不足する」――。こうした退職前後の切実な声は少なくない。政府が75歳までの就労を促す一方で、仕事を離れたあとの孤独や健康リスク、再就職の壁は大きい。
そんな課題に対し、『定年を病にしない』(高田明和著、ウェッジ刊)から、定年前からの心構えと具体策を専門家の事例とともに紹介。本記事では、本書のエッセンスを整理し、読者が今すぐ実践できるポイントを解説する。
なぜ50代から「定年後」が不安なのか
――社会データが映し出すリアル
総務省の調査では、50代の9割以上が「定年後に何らかの不安を抱えている」ことが明らかになっている。また、金融庁の報告が示すように、年金だけでは平均約2000万円が不足するとされ、資産形成への危機感は急速に高まっている。一方で働き方改革や高齢雇用の推進は進むものの、「朝起きて居場所がわからない」「社会の常識が通じなくなった」といった声は後を絶たない。
――定年後に陥りやすい心の罠
定年後の三大不安は「健康」「お金」「孤独」というが、とりわけ深刻なのが孤独だ。英国では孤独対策担当大臣が誕生し、孤独が国民経済に年間約320億ポンドの損失をもたらすと試算された。日本でも、人付き合いを会社に限定してきた人ほど退職後に地域や家庭で居場所を見失いがちだ。
また、これまで「自分は仕事人間だった」という自負が崩れ、燃え尽きる人も少なくない。定年前から社外のつながりを育むこと、趣味や家事を「義務」でなく「気まぐれで始めるもの」としてハードルを下げることが重要だ。
