カルビーによるポテトチップスなど14品のパッケージのカラー印刷をモノクロにする発表は、ナフサ不足に苦しむアジアの現状を端的に表すニュースとして海外でも報じられた。
カルビーは変更の理由を「中東情勢の緊迫化に伴う一部原材料の調達不安定化」としている。具体的には印刷インキの原料になるナフサの供給が減少し、価格も大きく上昇しているからだ。
ナフサは分解すると、エチレンなどの基礎化学品になり、プラスチック、合成ゴム、塗料、接着剤などに加工され、生活を支えている。日本で使用されるナフサは、原油から製造されるガソリンなどの全石油製品の消費量の約4分の1を占めるほど重要な原料だ。
ナフサの約6割は輸入されている。輸入先の約4分の3はホルムズ海峡を通る中東産。1割強は3月末に輸出禁止が宣言された韓国産だ。
日本で製造されるナフサを支える原油の大半も、ホルムズ海峡経由だ。ナフサ供給の大半はホルムズ危機の影響を受ける。
海峡の開放が待たれる中、トランプ大統領と習近平主席の会談がホルムズ海峡の開放に結び付くのではとの淡い期待があったが、イラン戦争の停戦とホルムズ海峡の封鎖解除について成果を生むことはなかった。
米中の共同記者会見や共同声明の発表もなく、話し合いの詳細な内容を知ることはできないが、トランプ大統領は「中国からイラン問題の解決を支援する申し出はあったが、頼みごとには見返りが必要なので断った」と述べている。
ホルムズ海峡が開放されなければ、世界が消費する原油と石油製品の1割以上を市場から消したエネルギー危機は継続し、価格上昇により経済は疲弊する。
そんな中、ホルムズ危機が継続することを願う人物もいる。ロシアのプーチン大統領だ。イラン戦争が引き起こした原油、ナフサなどの石油製品、天然ガス、石炭の価格上昇は、化石燃料依存のロシア経済に棚ぼた利益をもたらしている。
おまけに、トランプ大統領が呼びかけたホルムズ海峡の警備に北大西洋条約機構(NATO)諸国が同意せず、ロシアにとっては望ましい米国とNATOとの亀裂も広がった。
