2026年5月19日(火)

World Energy Watch

2026年5月19日

見通せないホルムズ海峡開放

 支持率が30%台と低迷しているトランプ大統領は、11月の中間選挙を控え中国訪問で成果を上げたかったが、期待外れに終わったようだ。トランプ大統領は、200機のボーイングの航空機、石油、大豆の輸出を成果としてあげたが、支持率に影響を与えるほどのものではない。

 イラン戦争について、トランプ大統領は「米中両国はイランに核兵器を持たせたくないし、海峡の開放を望んでいる」、さらには「中国はイランの戦争を支援するために軍事装備を送らないことを約束した」と述べただけだ。

 トランプ大統領の支持率に影響を与えている米国内のガソリン価格は、戦争前との比較で50%以上上昇し、5月17日時点で1ガロン当たり4.513ドルと高止まりしている。

 トランプ大統領はあわよくば中国の力も借りホルムズ危機を解決したかったはずだが、成果はなかった。

 プーチン大統領は、ホルムズ海峡の開放が見通せなかった会談結果にほっとしているだろう。

増えるロシアの化石燃料販売収入

 ロシアの26年度連邦政府予算は、ウクライナとの戦争により戦費の歳出が増える一方、多い時には歳入の半分を占めた化石燃料輸出からの収入は、価格低迷があり26%に留まる。歳入不足のため、ロシア政府は付加価値税を1月から2%増の22%に引き上げた(ロシアを助けている日本企業は?侵攻後に撤退相次ぐ中で残る企業…制裁下でも戦争支える化石燃料 )。

 ホルムズ危機が引き起こした原油、天然ガス、石炭、ナフサなどの値上がりは、ロシア政府には思わぬ棚ぼた収入になっている。

 ウクライナのドローン攻撃がロシアのエネルギーインフラ、石油の輸出港湾設備に影響を与えており、4月の海上輸送による石油の販売数量は3月比マイナス24%だった。そんな中でも単価が大きく上昇した化石燃料の販売額は増えている。

 シンクタンクCREAによると、米国が制裁を一時的に解除したこともあり、ロシアの3月の化石燃料販売額は2月との比較で52%増の1日当たり7億1300万ユーロ(1300億円)、4月にはさらに増え7億3300万ユーロ(1360億円)に達している。

 ロイターは、ロシア連邦政府の石油採掘税収は3月の3270億ルーブル(7100億円)から4月に7000億ルーブル(1兆5000億円)に増加する見込みと報じている。

 トランプ大統領はホルムズ海峡を開放するチャンスがあったが、イラン関係の船舶の通過を封鎖し、海峡を開放しなかった(トランプが「ホルムズ海峡封鎖」を表明した理由…イランを“兵糧攻め”に、急がば回れの戦術は成功するか)。イランは米国の兵糧攻め作戦にも耐えており、米国の報道では数カ月以上イランは持ちこたえられるとみられている。

 トランプ大統領は勝利宣言により終戦を図りたいのだろうが、その材料はまだ見えない。その状況下、戦争が長引くことで利益を得られるロシア・プーチン大統領がイラン戦争の勝者であるのは確かなようだ。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る