2026年4月21日(火)

造船立国ニッポンへ

2026年4月21日

 国土交通省が掲げる「建造量倍増計画」は、ともすれば大型船、つまり世界を航行する「外航船」の話になりがちだ。しかし、国内を運航する「内航船」も、日本の貨物輸送の約4割を担い、国民の生活を支える重要なライフラインだ。瀬戸内海に面し、長年、内航船の建造や修繕に力を注いできた2つの中規模造船会社を訪ねることで、「建造量倍増計画」で報じられることが少ない〝もう一つの課題〟が見えてきた。

 「モノづくりの世界では、製品をつくるだけでなく、〝つくったあと〟がむしろ重要なんです。実際に現場で使ってみてはじめて分かることもあります。優れていた点、改善すべき点などを踏まえて、次のモノづくりにどう生かすのか。自動車業界では当たり前に使われている『プロダクト・ライフサイクル・マネジメント』という言葉が、最近ようやく造船業界でも聞かれるようになりました。まさに、船を『人間の一生』のように見ることが大事なんです。建造して終わり、売って終わりではないんです」

 そう力説するのは広島県尾道市に本社を構え、国内トップクラスの船舶修理台数を誇る向島ドック社長の久野智寛さんだ。前職ではトヨタ系部品会社大手のアイシンに勤務していた。製造業の中でも生産管理や効率化が徹底された自動車業界出身だからこそ、造船業界が抱える課題と改善の道筋がいくつも思い浮かぶ。

向島ドックの久野智寛社長(真ん中)と小倉信好さん(右)、管理本部の山本 晃さん(左)(WEDGE)

 国は、「造船力強化」を掲げ、大型の外航船や次世代エネルギー船の建造力強化に軸足を置く。

 だが、そもそも「造船力」とは何か。久野さんは言う。

 「自動車に比べて、船に関わる人たちは非常に多い。船が生まれて役目を終えるまでには、船主や船員はもちろんのこと、工務監督や船舶機器メーカー、整備員や我々のような修繕事業者もいます。船を安全に運航させるためには、このどこが欠けてもいけない。『船の一生』に関わる事業者を全体として支え、底上げする力、それを日本の『造船力』と定義すべきではないでしょうか」

 メイド・イン・ジャパンの自動車が世界的な評価を得ている理由の一つに、「耐久性」や「品質の高さ」があげられるが、それは船の世界でも同様である。


新着記事

»もっと見る