2024年12月5日(木)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2024年12月5日

 米国のバイデン大統領は12月1日、虚偽の申請をして銃を購入したことや税金逃れをした罪で起訴され、一部有罪評決が下った次男のハンター・バイデンに恩赦を与えた。しかも、この恩赦は、有罪評決を受けた罪状だけではなく、2014年1月1日から24年12月1日までに犯した可能性のある連邦犯罪すべてを対象として恩赦するという包括的なものであった。

バイデン大統領(左)は息子のハンター氏に恩赦を与えた(ロイター/アフロ)

 バイデン大統領は、声明を発表し、ハンターが大統領の息子であるせいで選択的かつ不当に起訴されたとし、大統領であるとともに父親でもある自分がこのような決断に至ったことを米国民が理解してくれることを願うとした。ただ、バイデン大統領とその広報担当者は、これまで息子に恩赦を与えることはないと繰り返し述べてきており、それを翻したことになる。

飛び交う〝批判〟の言葉

 この恩赦に対しては、波紋が広がっている。バイデン支持者の中には、「がっかりした」とするものが多い。また、トランプが大統領に就任したのちに、不当な恩赦を行っても民主党は批判しづらくなったと悲観する向きもある。

 トランプ周辺は、より直截的に今回の恩赦を攻撃している。次期トランプ政権で新組織「政府効率化省」のトップになることが発表されている実業家のイーロン・マスクは、トランプを嘘つきと呼んでいたバイデンが前言を撤回して息子に恩赦を与えたことをさして、「偽善」であるとXに投稿した。

 トランプ自身も、「司法の濫用」と批判した。大統領の恩赦の権限は憲法に記されたもので極めて強く、一旦恩赦されたハンター・バイデンを、トランプが大統領に就任した後、同じ罪に問い直すことはできない。


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