4月9日、大阪万博が開幕直前でメディアデーを開催し、多くのパビリオンやイベントが披露された。「いのち」をテーマにした万博では様々な角度から生命の大切さに言及しているが、実際には予約制でも混雑も予想される。駆け足ではあるが各国パビリオンの見どころを紹介したい。
まず万博へのアクセスとなる大阪市営地下鉄中央線、夢洲駅。今年1月に開業したばかりのきれいな駅構内には大型のLEDスクリーンが設置され、万博へのワクワク感を誘う。
夢洲駅からアクセスする場合、東ゲートからの入場となる。大屋根リングの手前に日本館、住友やNTTなどの企業パビリオンが並び、大屋根リングをくぐるとほぼ正面にアメリカ館が登場する。向かって右にフィリピン、左にフランス、という並びで、それぞれのパビリオンの大きさも最大級だ。
アメリカ館は宇宙船の内部を模したデザインで、エントランスでは多様性、国際強調などアメリカが世界に貢献する展示があり、3つのエリアに別れた映像体験部分へと進む。それぞれのテーマはサステナビリティに向けたイノベーション、アメリカ各地の大自然や都市などの紹介、宇宙開発の歴史と展望となっている。360度を使った映像体験はさすがのクオリティだ。
フランス館はデザインがメインテーマで、ロダンの手の彫刻が各所に配置され、手の動きによって協調、創造などが表現されている。女性の服飾の歴史のような白のドレスを多数配置した空間など、世界のファッションリーダーとしてのプライドが感じられる展示となっている。
多くのパビリオンで映像体験がメインとなる中、来場者にタブレットを貸し出しAR体験でカナダの街並みや大自然を楽しもう、というのがカナダ館。白一色の流氷のような展示室でタブレットをかざすと、ケベックの街並みやロッキー山脈、ナイアガラの滝などがタブレットに映し出される。
スイス館ではエントランスで巨大なシャボン玉が浮かぶ演出があり、ステンドグラスでスイスの見どころを紹介したり、スイスの誇るIT技術の展示室などがある。ユニークなのはモニターの前に立つと自分の顔がアインシュタインとのコラボ映像になる、というVR展示だ。
数あるパビリオンの中で、5カ国による共同出展で話題を集めるのが北欧館。日本の木材を使い、日本の技術で組み上げられた高さ17メートルの木造で、1階部分は高さを活かした北欧の生活などを紹介する展示、2階には商談向けのスペース、そして屋上テラスのレストランでは北欧の食文化と和食を融合させた料理が提供される。また1階のショップではムーミングッズを始めとした北欧諸国の商品が並ぶ予定だ。
技術的な側面としては、やはり人型ロボットや空飛ぶ車に注目が集まる。中国館では人型ロボットが案内役を務めたり、メディアデーではスカイドライブ社による空飛ぶ車の飛行デモも行われた。JALはそらクルーズというパビリオンを開設し、実際に空飛ぶ車での飛行を擬似体験できるイマーシブシアターが楽しめる。
全体的に展示物よりも映像体験型の施設が多いため、テーマパークのような楽しみ方ができるだろう。特に夜の空気と水と光のイベントは、30分間というストーリー性を持たせた噴水と火、プロジェクションマッピングを融合させた壮大な光のショーで、見応えがある。