最大の見どころのひとつである大屋根リング
最後に、今回の万博の最大の見どころのひとつである大屋根リング。全長2キロ強のリングはギネスに認定された世界最大級の木造建造物で、釘を使わない日本古来の工法はやはり注目に値する。屋上部分は遊歩道と緑地エリアになっており、会場を見渡し芝生でくつろぐことも可能だ。夜のイベントなどの背景としても活躍する。
浮き彫りになった課題
一方で課題も浮き彫りになっている。まずアクセスだが、多くの人が利用する地下鉄から東ゲート、というルートは大混雑が予想される。ゲート数が十分ではなく、QRコード提示のためもたつく人も多いだろう。テストランでは予約制にもかかわらずゲートで1時間半の渋滞が起きた。会場内は広く、貸し出しの四輪モビリティはあるものの数が限られている。メディアデーで比較的人が少なくても西ゲート付近まで行くのはかなり大変だった。真夏には熱中症が多発しそうだ。
手荷物預かりも少なく、価格はなんと1万円。夢洲駅にもコインロッカーはなく、JR弁天町駅などに預ける必要がある、というが告知が徹底していない。会場内のレストランなどはフードコートもあるが価格設定は高めで、パビリオン内のレストランは事前予約で入れないところも多いという。トイレもデザイン重視で使い勝手は悪く、中には入口と出口が反対方向でトイレに入ろうとして「出口専用」と表示があり、入口が分からない、と困惑する人もいた。
一番問題なのは、開幕3日前というタイミングでまだ突貫工事が続くパビリオンがいくつかあったこと、西ゲート付近でメタンガス濃度の高いところが見つかる、など準備不足が目立つ、という点だ。各パビリオンが映像展示方式が多いため、入場者が限られ、当日券の発行と共に待ち時間がかなり長くなる可能性も否定できない。
こうした課題はあるものの、1970年の万博と比較すると、当時はまだ海外旅行が珍しく海外パビリオンへのワクワク感があった。しかし世界がより小さくなった今、各国がいのち、未来への取り組みを様々な形で示す場にはそれなりの意義があるだろう。アメリカ館が掲げる理想に現在のトランプ政権が否定的な姿勢を取るなど、世界の情勢が不安定な中だからこそ、世界中の人々が集い語り合う万博は重要かもしれない。
