近年賑わいを見せている日本各地の観光地。インバウンド等のメリットが大きい一方、オーバーツーリズムに代表されるように、急増する観光客による様々な問題も顕在化しつつある。中でも、「街のゴミ箱」問題は避けては通れない。
海外から「称賛」も、制度的な限界
海外メディアが驚きと称賛をもってたびたび伝えるように 、日本は街中に公共のゴミ箱がほとんど置かれていないにもかかわらず、清潔で綺麗な景観を保っている稀有な国である(訪日客を困らせる「ごみ箱がない」問題 清潔さは評価、でも最大の不満- CNN.co.jp)。これには、「自分のゴミは持ち帰る(来た時よりも美しく)」という規範意識・精神性に加え、1995年の地下鉄サリン事件以降のゴミ箱撤去の流れが寄与しているように思われる。
一方、そうした背景をもたない外国人旅行者にとって、こうした日本の状況は「困りごと」にもなるようだ。観光庁が実施した「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査」(令和6年度)によると、旅行中に困ったこととして「ゴミの捨て場所が少ない」と回答した割合は21.9%に達している 。これは、「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」(15.2%)や「観光地や地域の混雑」(13.1%)を上回り、「困ったことはない」(51.1%)を除くと実質的なトップ項目となっている。ちなみに令和5年度の同調査では、「ゴミ箱の少なさ」は30.1%、「困ったことはない」が29.7%となっており、外国人旅行者にとっての関心事であることがうかがえる。
確かに旅行中のゴミは処理に困ることが多い。すべて持ち帰るにも限界があり、たとえばソースが少し残った紙トレイや水滴のついたカップをお気に入りのバッグの中にそのまま仕舞い込むには心理的な抵抗がある。かといって、ビニール袋に入れて持ち歩けば片手が塞がったり、(心理的に)次の店に入りづらくなったりする。各地の観光地で「食べ歩き」などが歓迎される一方、相対的に捨て場所が少なく、その処理も個人のモラルに委ねられているのが現状といえる。
