第二に、リサイクル率の低下である。街頭に分別回収拠点がなければ、消費者は飲料容器などを自宅に持ち帰ることになる。しかし、持ち帰ったゴミは他の生活ゴミと混合されやすく、焼却処分率の高い日本ではリサイクルに回されにくい。
実際、日本全体のリサイクル率は20%程度にとどまり、ゴミ処理方法や計算方法の違いから単純比較はできないものの 、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で下位である(なぜ日本のごみのリサイクル率はヨーロッパに比べて低いのか? 国立研究開発法人国立環境研究所)。逆に、リサイクル率の高いドイツでは 、街中のあちこちに公共のゴミ箱が設置されていたり、飲料ボトルに販売価格に上乗せした預り金を課しその容器を返却すると戻ってくるデポジットシステムがあったりと、積極的にリサイクルしたくなる仕組みが整えられている(ドイツで「路上がゴミだらけ」にならない理由。暮らして感じたオーバーツーリズム対策の違い | Business Insider Japan)。
必要とされるマインドチェンジ
昨今のポイ捨て状況や、一部のゴミ箱に集中してしまっている現状を踏まえると 、街中にゴミ箱を置かず、「ゴミは持ち帰りましょう」という啓発だけで問題を解決しようとするアプローチには構造的な限界がある(現役駅員、街中で進むゴミ箱撤去に待った! 「『食べ歩きできる商品を売ってる業界』はゴミ箱を設置して」 - サンスポ)。文化的背景の異なる外国人観光客に対してはなおさらであり、置く置かないではなくむしろ、「どうすれば持続可能な形で設置・運営できるか」といった視点の転換が必要だろう。
近年増加している「宿泊税」の活用などがいい例だが、ほかにも下記のような方策が考えられる。
1:「捨てる権利を買う」仕組みの導入
現在実証実験中ではあるが、「有料ゴミ箱」は一つの可能性である 。低額であれば抵抗感も少なく、受益者に応分の負担を求めるというのも理に適っている。行政主導の上で、キャッシュレス決済等と組み合わせれば、運用上のハードルも下げられる。
2:スマートゴミ箱による効率化
IoTセンサーでゴミの蓄積量を感知し、回収ルートを最適化する「スマートゴミ箱」が世界各地で実用化されている。回収コストの削減に大きく寄与し、日本でも広島の平和記念公園など、導入スポットが増えつつある 。
環境省でも、「ポイ捨て対策・オーバーツーリズム対策」として、ナッジや持続可能な事業づくりをキーワードとした支援事業を試験的に実施しており 、今後の展開に期待したいところだ。しかしながら、こうした受け皿が用意されることによって、今度は他人の善意にタダ乗りする「フリーライダー」が問題になってくるため、その対策も必要だろう。
ゴミ箱の設置・維持管理は「削減すべきコスト」なのか、「快適な都市空間を生み出すための投資」なのか、我々がどのような街の姿を望むかに左右される問題だ。
