1月21日のダボス会議におけるトランプ大統領の発言によって事態は少々変化したが、グリーンランドを併合するとの同大統領の脅迫に対し欧州は宥和策を採るべきではないとする2026年1月18日付フィナンシャル・タイムズ のギデオン・ラックマンによる論説を紹介する。
トランプのグリーンランドを併合するとの脅迫はかつて考えられもしなかったこと、すなわち北大西洋条約機構(NATO)の一員デンマークから領土を奪取するために米国が軍事力を使うかもしれない可能性を提起している。欧州の幾つかの国がグリーンランドへの派兵をもってこれに応えた。
トランプの反応は、「非常に危険なゲーム」を弄んでいるとして関係国を非難することだった。トランプはこれら諸国に2月から10%、6月から25%の追加関税を課すと述べた。
これから何が起きるのか?多様な結果が考えられる。無害な結末としては、トランプ関税の脅しが霧の中に消え去ることがあり得る。
トランプは以前にも関税の口先だけの脅しをしたことがある。米国以外で制作された映画に対する100%関税、シャンパンに対する200%関税がそれである。イランと貿易する国に25%の関税をかけると脅したが、これまでのところフォローアップの形跡は殆どない。
最も危険な結末には、NATOを含む西側同盟の完全な解体がある。その結末に至る過程を予測することは難しくない。
トランプはグリーンランド関税を強行する、欧州は対抗関税を課す、トランプはNATOから脱退する、またはNATO条約第5条には最早縛られないとの脅しをもって応える。米国はウクライナに対するすべての更なる支援を停止し、戦争の終結方法については断固として親ロシアの立場を取ることも出来よう。
最も極端な可能性としては、グリーンランドで米国と欧州の兵が現に衝突することがあり得る。それが、グリーンランドへの欧州の派兵に込められたメッセージのようである。
このような困惑すべき各種の可能性に当面して、欧州の首脳はどうすべきか。答えは、最悪の結末を避けるために、欧州の首脳は押し返す必要があるということである。
