1月8日付けフィナンシャル・タイムズ紙が「トランプのグリーンランドの脅しへの欧州の対応」との社説を掲げ、欧州の対応を具体的に提案している。概要は次の通り。
ベネズエラのマドゥロ大統領捕縛よりさらに懸念すべきは、トランプが米国はグリーンランドが必要だと再度主張したことだ。グリーンランドはベネズエラと同様、西半球にある。安全保障か、北極地域へのアクセスか、鉱物資源かは別にして、トランプはこの世界最大の島を欲しがっている。
ホワイトハウスは、グリーンランド取得の方策として米軍の使用を排除しない、と述べた。ルビオ国務長官は米国議会に米国の目的は侵攻ではなく購入だと述べた由だ。トランプは第1期政権でもこれを試みた。
トランプのグリーンランドへの野望は、欧州の深刻な懸念だ。彼への抵抗は、貿易、安全保障で対米依存する欧州にとっては危険なことだ。
グリーンランドへの米国の行動は北大西洋条約機構(NATO)終焉と欧州連合(EU)分裂を意味しうる。トランプの脅しへの欧州の対応は、デンマークとの団結維持を核とすべきだが、トランプは国際的規範を無視するので、国際法遵守の主張では不十分だ。
EUとNATOの同盟国には誘惑と強硬論を組み合わせた交渉戦術が必要だ。既存の合意は、既に米国にグリーンランドにおける安全保障プレゼンスを拡大し同地域の鉱物資源を採掘する全ての権利を与えていることを強調すべきだ。
欧州諸国はまた、対NATOでやったように、米国がグリーンランドと北極で安全保障措置を強化するコストと兵站の分担を提案すべきだ。複数国の措置は、昨年デンマークがコミットした追加的艦船、哨戒機、早期警戒システムや、グリーンランドの首都ヌークへの北極司令部設置を大きく上回る必要がある。
安全保障確保には、中露が北大西洋入域の際に通るGIUKギャップ(注:北大西洋における海戦上のチョークポイントとなる、グリーンランド、アイスランド、英国の間の海域)の両側において米国NATO共同で行うことが最も効果的だ。制裁破りの疑いでロシア船籍タンカーを拿捕した米英共同作戦は米国に軍事同盟の価値を示した。
欧州の指導者は、米国の本質的利益が何かを指摘すべきだ。NATO崩壊の影響はグリーンランドと北極の安全保障悪化に留まらず、欧州をプーチンのロシアに対し脆弱にし、米国のライバルを強化するので、米国の目的と完全に反する。トランプの国家安全保障戦略は、西半球重視に加え、ユーラシアでの戦略的安定実現とロシアと欧州諸国の紛争リスク低下が米国の中核的利益だと宣言している。
