2026年1月27日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年1月27日

 次いで、トランプが領有のもう一つの理由として挙げるレアアースについてだが、ベネズエラの場合の石油と同様に、これを米国の領有発言の背景だとする見方もある。しかし、これについてもデンマーク政府はグリーンランドのレアアース鉱区を入札に付し、米国企業の参加も大歓迎だとしていたが、蓋を開けてみると、ビジネスとして魅力が足りないのかもしれないが、結局米国企業の入札参加は皆無で、参加したのはほとんど中国企業だったという話もある。

欧州はどう「強さ」を示すか

 北極航路使用の現実的可能性が高まる中で、グリーンランドを米国が領有しなければ中露が領有する、という議論をトランプ大統領はしているが、中露による領有をデンマーク・グリーンランドが唯々諾々と受け入れるとは思われないし、実際の紛争になればNATOの共同防衛が発動される「はず」なので、十分抑止が効いている限りは問題にならない。トランプ大統領の言い分は、あたかも、中露が侵攻してから対応するより、予め米国が所有していた方が侵攻をより確実に止めうるので、安上がりだ、と言っているように聞こえるが、これは、NATOの共同防衛による抑止を大きく棄損することに繋がりかねない。

 しかし、この社説が言うような、米国の国家安全保障戦略に基づき米国を説得するというやり方は、余り見込みがないだろう。米国は、同国によるグリーンランド領有に反対する欧州の8カ国に対し、10%の追加関税を課すとしている。こうした中で、欧州が「強さ」を示すための力の使い方を考えるべきというのは正しい指摘だが、具体的にどうするのか。

 もちろん、欧州諸国がデンマークと協力して、北極地域防衛のためのNATO内の協力体制を強化するのは、グリーンランドとは別の問題として重要だろう。フィンランドの対米砕氷船供与もその一環であり、多国間で一層強力な防衛体制を構築するのは一案だ。その場合は、北極航路から大きく裨益する日本も(砕氷船の建造等)何らかの貢献をできるはずだし、そうすべきだろう。

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