高市早苗首相の決断への賛否が渦巻く中、衆院が解散され、選挙戦が実質的にスタートした。解散の大義、物価高対策など与野党間の舌戦は激化しているが、国内だけでなく国際環境も厳しい中で懸念されるのは、内政志向が続くことによる国の存在感の低下だ。
首相官邸ホームページより
「日本の針路を決める」(高市首相)選挙が地盤沈下を促進する結果になっては、これ以上の皮肉はない。
延々30分、〝政治とカネ〟は素通り
高市首相が解散を表明した1月19日の記者会見を聞いていた野党各党の党首らは切歯扼腕したろう。首相は30分以上にわたって、延々と自らの実績を誇示、今後の方針について語ったのに対し、その場で反論できなかったのだから。
翌朝のニュースショーで、「施政方針演説のようだった」というコメンテーターの解説があったが、同様の印象を持った人も少なくなかったろう。首相としての発言と与党党首としてのそれの線引きは難しいが、高市会見は多分に選挙演説の趣だった。
一昨年10月、就任早々に石破茂首相が衆院を解散した際の会見でも、やはり公約への言及はあったが、時間は半分の約15分弱。石破氏はこの場で、自民党の裏金問題に関わった議員の公認見送りの方針を明らかにしたが、高市首相は倍の時間を費やし、政治・経済からスパイ防止法、皇室典範の改正まで取り上げながら、国民の関心が高い政治とカネ、裏金関連議員公認の方針については素通りだった。
予算審議を先送りしてまで、衆院を解散する妥当性についても「過半数の議席を維持できていないので信を問う」というだけで、納得のいく説明はなかった。
「高市早苗が内閣総理大臣でいいのか」を問うというなら、自らの主張だけ展開して「白紙委任」を得ようとする政治姿勢こそ、有権者の審判を仰ぐべきだろう。
