2026年1月22日(木)

Wedge OPINION

2026年1月22日

 2025年も円安相場は終息しなかった。昨年4月以降、第2次トランプ政権が孤立主義を深めたことで「ドル離れ」がテーマとなり、実際にドル相場は歴史的な全面安を余儀なくされた。名目実効為替相場で見ると、7月には年初来で一時マイナス7%程度まで下落幅が拡がっている。この間、ドル安に合わせてユーロやスイスを筆頭とする欧州通貨が買われたものの、円は概ね一緒に売られていた。

ドルの基軸通貨性が失われつつある中、2025年の動きは新常態の兆しといえるのだろうか(JAVIER GHERSI/GETTYIMAGES)

 この背景について筆者は経済・安全保障面での米国に対する依存度の高さから一蓮托生リスクが意識された結果ではないかと考えている。「ドル安下での円安」は珍しい相場現象であり、これが今後も起きれば、円相場の行方は一層読み難くなる。

 ちなみに、ユーロが買われた背景には欧州再軍備計画を通じて安全保障面での戦略的自律が図られ、しかもその資金源に共同債が採用されるとのことから安全資産としての「ユーロの基軸通貨性」も改善するとの解釈があった。4月以降の約半年間、為替市場のテーマは「ドルの基軸通貨性」の毀損という点にあったため、その文脈において米国との一蓮托生が意識されやすい円が忌避され、自律を図ろうとするユーロが選好されるのは論理的な展開だった。

 しかし、9月中旬以降、ドル相場は底打ちしている。この際、一蓮托生の相手として円は選ばれず、むしろ、10月以降は暴落した。これが10月4日の高市早苗自民党新総裁誕生と符合していることは明らかであり、拡張的な財政・金融政策が継続されることによる通貨価値の毀損が争点化した結果である。

 こうしてみると25年度上半期はドルとの一蓮托生リスクが、下半期は高市政権にまつわるリスクが意識されたというのが円相場の総括になる。言い換えれば、「ドル安でもドル高でも円は買われなかった」というのが25年の円相場であり、恐らく26年以降の争点にもなるだろう。


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