過去一年、彼等は宥和とへつらいを試みた。その結果がこれである。彼等はコースを直ちに変更する必要がある。
欧州は、米国を標的とする対抗関税を計画すべきである。新たな標的には、巨大テック企業や暗号通貨企業を含めることが出来るだろう。
英国もトランプのグリーンランド関税の対象である。欧州連合離脱(Brexit)故、英国は欧州連合(EU)の集団的な対抗措置の一部ではないことになる。しかし、新たな関税が課せられるのであれば、スターマーはEUの単一市場に復帰するという大胆な行動もとり得よう。地政学的な環境が激しく変更されたのだから、英国民も欧州委員会も旧い紛争は脇に置いて速やかに団結する時だと決心するかも知れない。
欧州の首脳は、安全保障の面では米国が欧州に課し得る苦痛は、その逆の場合よりも大きいことを怖れて、トランプと対決することをいまだ躊躇するであろう。しかし、トランプの圧力の前に逆らわないことは反撃するよりも危険だとの過去一年の証拠がある。
中国やブラジルのようにホワイトハウスに立ち向かった諸国に対しては、一般的にトランプは降りる。いじめっ子の古典的なスタイルに倣い、トランプは弱い者に恥をかかせることを好む。しかし、正々堂々とした戦いのようなものだと、彼は早々と身を引く。
人口希薄なデンマークの自治領には大西洋同盟を危険に晒す価値はないと言いたくなる欧州の首脳はもう一度考える必要がある。問題は、領土の一体性と民族自決の権利、すなわち、国際法と欧州統合にとって基本的な原則である。それらの原則を放棄することは、EU、国際秩序、それから大西洋同盟に深刻な損害を与えるであろう。
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領有は諦めていない
トランプのグリーンランドを併合するとの脅迫に、欧州は対抗すべきであり、宥和とへつらいを繰り返すべきでないとの論旨に賛成である。
欧州は抵抗の構えを整えつつあった。EUは930億ユーロの対抗関税を用意しているとされ、また、EUは経済的威圧に対抗する仕組みを必要に応じ発動することを検討しているとも伝えられていた。
1月21日、ダボスでNATO事務総長ルッテと会談した後、トランプはNATO加盟8カ国に対する関税の発動を見送ると表明した。「将来の取引の枠組み」について合意に達したからだと説明した。ただし、その内容は明らかになっていない。
トランプの路線変更の背景には、欧州の抵抗もあったのであろう。1月20日に ニューヨーク株式市場で株価が急落したこともあったに違いない。
