2026年1月29日(木)

トランプ・パワー

2026年1月29日

 米国という国家は、数々の課題を抱えながらも、試練を乗り越え、人類の進歩のために、常に試行錯誤を繰り返してきた巨大な〝実験国家〟である──。

「自由の国」という米国のイメージが崩れつつある中で我々が持つべき視点とは何か(GARY HERSHORN/GETTYIMAGES)

 これは、渡米して37年、米国社会の様々な矛盾や差別に翻弄されつつも生き抜いてきた私が導き出した一つの結論である。

 周知のとおり、米国は多民族・多人種国家であり、「民主主義」を掲げる国だ。また、建国以来、人類のより良い未来を切り拓くという歴史的使命も担ってきた。そんな米国がもし進むべき道を誤れば、その影響は人類全体に及び、希望が失望に変わる可能性すらある。だからこそ、人類の進歩や未来のためにも、米国には失敗が許されないのだ。

 第2次トランプ政権の影響で、米国に対する世界中の人々の信頼が揺らぎ始めている。だが、米国には今もなお、アメリカン・ドリームを求めて世界中から多くの人々が集まり続けている。なぜなのだろうか。

 それは、日本のメディアの報道やトランプ政権の振る舞いを見ているだけでは分からない米国の真の強さや魅力、人々を惹きつけてやまない吸引力があるからである。

 異国の地で37年以上暮らしていて痛感するのは、米国の政権と市井の人々の振る舞いは必ずしも一致しているわけではないということだ。米国の真の強さは、多種多様な価値観が混在する中で、それらを否定せずに共存を図ろうとする姿勢にある。加えて、日本とは異なり、違いを尊重する教育が幼稚園の段階から徹底されている。自由で柔軟な思考を育む人材の育成こそが、社会を前進させる原動力であることを、米国人自身が深く理解しているからだ。

 しかし、トランプ大統領の言動によって、日本人の米国観に揺らぎが生じ、日米関係の行方に不安を抱く声も少なくない。だが、それでも私は米国の未来を決して悲観していない。冒頭で述べたように、人類が直面する試練を乗り越えることこそが、米国の使命であり、その精神は、米国のDNAとして人々に脈々と受け継がれているからである。

 分水嶺に立つ米国に対し、日本は今後、どのように向き合っていくべきなのか。米国籍を持ち、日本と米国を愛する一人の日本人として、両国が将来にわたって強固な関係を維持・発展していくためには何をしていくべきなのか、私見を述べたい。


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