『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ、水曜日よる10時)は、映像界で「恋愛映画の名手」と呼ばれる、今泉力哉監督・脚本による作品である。小説家・土田文菜役に杉咲花をヒロインに迎えて、その恋人役の美容師・佐伯ゆきお役に成田凌を配している。
今泉力哉の脚本が紡ぎだしているセリフの数々は、詩のような響きを持っている。「愛」のありかたの数々を描いて、どの作品も異なる輝きを持っている、今泉作品の中でも予想を裏切らない。
日本テレビの制作部門が今泉力哉監督を起用したことは英断である。あるいは冒険であるかもしれない。
杉咲花にとってはどうか。今泉監督の演出によって、女優としての新たな才能を開花させられた系譜に連なることができるかどうか。その試金石となる作品である。
若者たちの会話劇
第1話「誰かにとっては特別な」(1月14日)土田文菜(杉咲花)は、小説を2冊だして3冊目にとりかかっている。いつも小さなノートを持っては、思い浮かんだ言葉や気持ちを書きとめている。
コインランドリーでひとり、スマホからイヤホンから音漏れした、ミッシェル・ガン・エレファントの大音響の音楽を聴きながらメモを取っていた。そこに佐伯ゆきおが入ってくる。音を絞る土田(杉咲)。
土田(杉咲) なんですか?
佐伯(成田) 音が漏れていて。ミッシェル好きなんですか?
俺も好きで。詩集も持ってて。歌詞の。
土田 それは、そうとう好きですね。
土田 なんですか?
佐伯 音が聴こえなくなって気づいたんですけど、コインランドリーって乾燥機とか洗濯機があるんで他の音が混ざりません。
土田 もし、間違ってたらいってくださいね。たぶん、合ってると思うんですけど。イヤホンはずしてかけていいですか?
佐伯(成田)は、美容師として働いている店の洗濯機が壊れたので、コインランドリーにやってきてタオルなどを洗うのだった。
