2026年1月28日(水)

田部康喜のTV読本

2026年1月28日

 今泉力哉監督にはコアなファンがいるのも事実である。しかし、この作品は都会の孤独な若者たちの愛を描いて彼らの心をつかみつつあるのだろう。

様々な「愛」を表現する今泉監督

 若手の女優たちにとっては、今泉監督はそれまでのイメージを脱皮させあるいは実力を向上させる“名伯楽”である。

「冬のなんかさ、春のなんかね」第1話完成披露試写会で登壇する今泉力哉監督

 ドラマ『不適切にもほどがある』(TBS、24年)によって“全国区”になった、河合優実は今泉監督脚本の映画『愛なのに』(22年)のヒロインとしてすでに映像界では、注目される存在になった。

 高校生役の河合が、古書店を営む30歳の瀬戸康史に結婚を迫る「愛」を描いた。瀬戸は学生時代のバイト仲間だった、さとうほなみへの思慕を断ち切れない。ある出来事があって、瀬戸は河合の思いに向き合うようになる。

 「結婚しようね」と、瀬戸に微笑む河合の演技は代表作といってよい。この作品が河合にとって初の主演映画ではない。吉永小百合がデビュー作として『キューポラのある街』(浦山桐郎監督、1962年)を上げられるたびに「この作品の前に(脇役として)何本も映画に出演しているんですよ」と答えている。河合にもこの言葉通りである。

 才能のある若手から、国内の映画賞を得て「恋愛映画の名手」と呼ばれる存在になった今泉監督の代表作のひとつが『パンとバスと2度目のハツコイ』(18年)である。乃木坂46出身の深川麻衣をヒロインとして、彼女が女優としての切符を手にしたといえるだろう。

 美術大の絵画コースを選んだものの、挫折して学生時代から働いていたパン屋の社員となった深川。恋人にプロポーズされるが、「あなたも、わたしもいつまでも愛することに自信がない」と、断ってしまう。

 バスの運転手として働いている、中学校時代の初恋の相手と心が通じるようになる。相手は離婚して子どももいるが、元妻に再婚を申し込んでは断られる。「あなたの片思いだったのよ。奥さんはあなたのことを愛してはいなかったの」と、深川。


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