スーパー戦隊シリーズは、50周年記念『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』(テレビ朝日・あさ9時30分)をもって幕を降ろすことが明らかになった。
日本の2024年の出生者数は、前年の70万人台を割り込んでついに約68万6000人にととどまった。第1作とされる『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975~77年)の視聴者だったと推定される70年代の出生数は年間約200万人であるから、現在は半分以下になったと言える。
テレビは、大人向け番組よりも子ども向け番組の分野をどのように舵取りしていくのか、その正念場に立っているといえる。「スーパー戦隊シリーズ」の終幕はその象徴的な出来事である。
スマホ時代に凝った脚本と演出
シリーズの作品自体は、時代とともに進化していると思う。50周年記念『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』の第37話(11月9日)と第38話(16日)の両日にわたって観た。
歴代のスーパー戦隊のロボット同士が闘ったあと、勝ち残ったデガソードは自らの力を無数の指輪に分割し、飛ばして眠りにつく。全ての指輪を集めると願いが叶うという。
そのデガソードの指輪を手にした5人が戦隊ゴジュウジャーとなる。遠野吠と白夜陸王、暴神竜儀、猛原禽次郎、熊手真白である。それぞれがさまざまな事情からはぐれ者の烙印をおされるような青年たち。彼らは、悪の軍団・ブライダンと闘うのであるが、その一方で5人の中でも指輪を求めて競って、ときに団結する。それぞれが得意技をもっている。歴代スーパー戦隊との戦いもある。
勧善懲悪の単純な物語ではない。第38話に登場して第39話で負傷して退場するリューレンジャーは、元刑事の戦士。ブライダンに拉致され悪に走った、かつて一緒に暮らしていたクオンを回心させようとする。しかし、ゴジュウジャーとクオンとともに小さな箱に吸い込まれて閉じ込められる。いったんは、クオンとも団結して脱出に成功するが、クオンの裏切りに遭う。
スマホの複雑な対戦ゲームに慣れている子どもたちをテレビの前に座らせるのは、PCやスマホが普及していなかった「スーパー戦隊シリーズ」の前期の時代よりも、脚本と演出はこったものにならざるを得ない。
