2026年1月28日(水)

田部康喜のTV読本

2026年1月28日

 今泉監督は、他人を愛するという気持ちがわからない「アロマンティック・アセクシャル」も描くようになった。『からかい上手の高木さん』(24年)である。ヒロインの永野芽衣は、教師となった中学校の同級生であり、初恋相手の高橋文也と10年ぶりに再会する。父親とともに海外で暮らした永野は、美術の教育実習生。高橋は愛の意味が分からない。

 永野芽衣の演技の幅を広げることになった作品だった。

 『冬のなんかさ、春のなんかね』にも、土田(杉咲)の友人の女性に他者に恋愛感情を抱き、性愛感情を抱かない「ロマンティック・アセクシャル」が描かれている。

杉咲花はどう開花させていくのか

 さて、杉咲花は今泉監督との出会いから何を得るのだろうか。ドラマを通じた最大の関心事である。杉咲のこれまでの映像界における活躍はいうまでもない。

杉咲花は今泉監督の作品でどう変わるのか?

 筆者の中では、『湯を沸かすほどの熱い愛』(中野量太監督、16年)がこれまでの代表作だと思う。実の母親だったと思っていた、宮沢りえがガンに冒されて本当の親のところに中学生の杉咲を連れていく。

 ろうあ者の実母と杉咲が手話で話すシーンは何度みても涙がこぼれる。「どうして手話を?」と尋ねる実母に、「母がいつか役立つから覚えておきなさいといったので…」と声を詰まらせる。

 小柄な女優としては、薬師丸ひろ子や小泉今日子らがいる。彼女たちの後を追うには、杉咲が女優として飛躍する必要がある。大丈夫。今泉監督が背中を押してくれる。

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