2026年2月4日(水)

世界を揺さぶるトランプ・パワー

2026年2月4日

 2期目の政権発足にあたり、トランプ大統領は名門大学を批判のターゲットにした。アンチ・エリートという姿勢を強く打ち出して求心力とするのは、1期目の際からこの政権の特徴であった。そう考えると、エリートの牙城である名門大学に対する姿勢には一貫性はある。

トランプ大統領による大学への「圧力」に対し、コロンビア大学の周辺で抗議デモが行われた(SPENCER PLATT/GETTYIMAGES)

 とはいえ、その動きはかなり荒っぽいものとなった。ガザ地区に対するイスラエル国防軍の攻撃に反対する学生運動を、ユダヤ系へのヘイト行動だと認定し、これを放置する各大学当局の姿勢は違法だという論理がまず使われた。

 当然のことながら各大学としては非暴力的な行動については言論の自由を崩すわけにはいかない。そこで政権と各大学は深刻な対立状況に陥った。政権は、補助金の大幅な削減と、留学生への学生ビザ発行を絞るという両面作戦で、各大学を兵糧攻めにした。

 米国の名門大学の多くは、アイビーリーグ8校やスタンフォード、マサチューセッツ工科大学(MIT)をはじめとする私立大学である。けれども研究費に関しては、プロジェクトごとに国の資金が投入されており予算の多くを占めていた。トランプ政権は、ここに標的を定めて追い込み、多くの大学は最終的に金銭による解決を選択した。補助金カットを呑みつつ、その金額については条件交渉している。

 政権との対立ということでは、ハーバード大学やコロンビア大学の事例が頻繁に報道されたが、名門大学については例外なく、この種の圧力が加えられている。例えば筆者の関係しているプリンストン大学の場合、先端技術の研究費を含む約2億ドル(310億円相当)の予算が現在でも凍結されている。

 これに対して、同大のアイスグルーバー学長は「AIや量子コンピューターなど国家の競争力に直結する研究予算までカットの対象とされたことは理解に苦しむ」としている。大学としては、こうした研究を遅らせるわけにはいかないし、学生への経済的負担を求めることも避けたいということで、運営経費を縮小することで予算をカットしている。現時点でも全学部の全部署において新規採用は凍結され、出張旅費は原則不認可となっている。大学としての財政への危機感は、2008年のリーマン・ショック当時より悪化しているといってよく、事態は深刻だ。


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