香港の高等法院は2月9日、香港国家安全維持法(国安法)違反罪などで有罪判決を受けた民主派寄りの新聞「蘋果日報(アップル・デイリー)」(2021年に廃刊)の創業者である黎智英氏(ジミー・ライ)氏に懲役20年を言い渡した。香港政府は、三権分立から行政主導の社会体制を確固たるものにしようとしているが、この判決は、司法の独立というよりも中国当局の意向を汲んだ判決であろうという事実が、それを証明する形になった。
事実上の終身刑
黎氏は、アップル・デイリー幹部らと共謀して米政府関係者らとの面会などを通じ、香港政府や中国政府への制裁を呼びかけたとして、国安法にある「外国勢力と結託して国家安全を害する罪」などで25年12月に有罪判決を受けた。その後、量刑をめぐる審理が行われ、懲役20年で確定した。黎氏はすでに詐欺罪で5年9カ月の拘禁刑で服役中だが、78歳という高齢であることから、事実上の終身刑となる可能性が高い。
香港では、基本法第27条に、言論の自由、報道の自由を規定し、1国2制度の根幹を形成してきたが、国安法が施行され言論弾圧が強化された。中国当局にとって影響力のあるメディアのトップである黎氏が本丸だった。
自由や民主化に関する表現に対しても、国安法が適用されれば、黎氏のように罪に問われる可能性があることが明確となった。
