就任以降、さまざまな大統領令にサインしている米国のトランプ大統領。その中の一つ、連邦政府機関での紙ストロー使用の廃止が話題だ。
覚えておられる方も多いと思うが、2015年ごろ海洋科学者らによって、鼻孔にプラスチックストロー(以下、プラストロー)が刺さったウミガメの動画が公開され、その反響もあって、世界的に反プラストロー運動が広まった(TIME (2025): “What to Know About the History and Controversy Over Plastic and Paper Straws” )。紙ストローはプラストローの代替品として注目され、「より環境に配慮されている」という触れ込みで急速に浸透してきた。
スターバックスやマクドナルドなどの大手飲食チェーンがプラストローの廃止や紙ストロー導入を決め、国レベルでも、米国の一部州、中国、欧州連合(EU)、韓国、バヌアツなどでプラストロー廃止の動きが広がっている。
今回の大統領令は、こうした風潮に一石を投じたものといえるが、実は米国だけでなく、スターバックスや韓国でも紙ストローの見直しの動きがある。飲んだ時の味が変わる、すぐにふにゃふにゃになるなど消費者の使用感がイマイチだったこともあるが、そもそもの「紙ストローは環境によい」という説自体に疑問が生じているようだ。
本稿では、紙ストローが本当に環境によいのか、これまで発表されている科学的な知見をもとに解説していく。