2026年2月9日(月)

World Energy Watch

2026年2月9日

 厳しい状況が続く風力発電事業への風向きが少し変わったのだろうか。北海道では、これからの経済成長の柱と期待されるデータセンターへの電力を陸上風力から供給する事業計画が登場した。

 洋上風力からの電力を半導体工場に供給する案を持ち出した知事もいる。三重県の一見勝之知事は、洋上風力発電を整備して半導体工場に電力を安定供給する考えを1月の記者会見時に述べている。

 データセンターも半導体工場も、365日、24時間稼働だ。止めることができない設備なので、電力供給も365日、24時間必要になる。

 日本の洋上風力発電設備の利用率は30%台だ。簡単に言うと、発電できる電気の量は設備の発電可能な量の30%台になる。いつも風が吹いているわけではないからだ。

(TebNad/gettyimages・Pasya/アフロ)

 風が吹かない凪になれば発電量はゼロになるので、バックアップ電源がなければ半導体工場もデータセンターも止まってしまう。地域の活性化どころの話ではない。

 米国には、専用の風力、太陽光発電設備による電力供給で稼働するデータセンターがある。24時間の電力供給のカギは蓄電池の活用だ。余った電気を蓄電池に貯めておき、発電ができない時に利用する。蓄電池の価格は高く電気のコストも高くなる。

 加えて、洋上風力の発電コストはインフレの影響を大きく受け上昇した。欧州、米国の事業者の撤退が相次いだ後、日本でも事業者の撤退があった(三菱商事は悪者なのか?洋上風力撤退の決断を数字で検証してみた、ガラガラポンの発想転換が必要な理由  Wedge ONLINE)。

 影響は依然尾を引いている。事業者の撤退が相次いだ米国東海岸では、トランプ大統領が工事を継続している5事業者に安全保障上の懸念があるとして工事中断を命じた。

 5事業者が相次いで連邦地裁に工事再開を訴えたところ、2月初めまでに5事業全てで工事再開が認められたが、先行きはまだ不透明だ。

 欧州北海では、欧州諸国の30年の洋上風力の導入目標が大きく未達成になりそうだ。そのため1月下旬に北海の周辺9カ国が集まり今後の戦略を議論した。

 また欧州諸国は世界シェアの約7割を握る中国の風力設備メーカーへの警戒を強めている。市場が伸びない中で中国製がシェアを奪うと欧州メーカーは生き残れない。

 そんな状況下、東京都の小池百合子知事は伊豆諸島海域での洋上風力発電事業計画を進め、2026年(令和8年)度予算案に関連費用を織り込んでいる。世界中の事業者が苦労している洋上風力の発電コストはいくらになるのか、伊豆諸島で発電した電気を消費地に送る費用はいくら掛かるのか。

 コストが高い電気を発電する設備が導入されれば、消費者が最終的には電気料金の形で負担するしかない。電気代上昇の原因になる。

 電気料金を引き上げる洋上風力に都税を使う余裕があるのであれば、還元して欲しいと思う都民も多いのではないか。


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