2026年2月8日(日)

新しい〝付加価値〟最前線

2026年2月8日

 メーカーが作る製品は3つの要素の複合体だ。3つというのは、価格、機能、そしてデザインである。比率は等分。デザインは、店頭での目立ち、機能のビジュアル化など、いろいろな要素を持つ。ため、とても重要。売り上げにも響く。

 メーカーとしては、継続的な優れたデザインの家電を作りたい一方、デザインは時代の影響も受けるので、永遠不滅のデザインというのは存在しない。単発で良いものができても、それを継続させるのは難しい。

 そう知っても、デザイン家電に挑戦するメーカーは後を立たない。それほど魅力的な課題でもあるからだ。だが、成功したという話はなかなか聞かない。継続できないからだ。

 そんな中、象印マホービン(以下象印)の「STAN.」(以下、スタン)シリーズが健闘している。2019年に市場投入されたシリーズなので、今年で8年目になる。これはかなり長い。今回、象印の商品企画部長の堀本光則氏に、スタンに関していろいろ話してもらった。

 なお、このレポートでデザイン家電というのは、数種類の別カテゴリーの家電を一つのデザインでまとめた家電群のことをさす。

今まで何度も挑戦してきた

2019年、STAN. 4機種の集合写真(象印マホービン提供、以下同)
2024年、STAN.シリーズの集合写真。2019年と同じデザインだが、新しいイメージは健在

―― スタンは、101年目の新たなスタートを迎えたタイミングで、現代の暮らしに合わせて新たに生まれたと聞いているが、デザイン家電をしようと考えられたのは、なぜか?

象印・堀本 象印はデザインシリーズを、ずっとラインナップしてきました。古くは、家電ではなく魔法瓶やホーロー鍋ですね。花柄など、今、昭和レトロと呼ばれる柄などのシリーズはとても人気がありました。また、ピエール・カルダン氏にデザイン依頼したシリーズもありました。近年でもスタンの前には、「ZUTTO」というデザインシリーズを発売しておりました。スタンが特別というわけではないのです

―― スタンは、黒ベースのシンプルデザインで、初年(2019年)に炊飯器、電動ポット、ホットプレート、コーヒーメーカーと出されたが、何を基準に4種類に絞り込んだだのか?

象印・堀本  ユーザーターゲットから絞り込みました。スタンのターゲットは30代前後の共働き、子育て世帯です。ターゲット世代の生活にマッチすることを想定してラインナップしました。例えば、電気ポットは電気ケトルに押されていますが、赤ちゃんが生まれると電気ケトルより余程有要になります。いつ何時でも、即時、適温のお湯でミルクを作り、赤ちゃんに飲ませることができます。

―― スタンは、販売している他のモデルを外観変更して作られているのか?

象印・堀本  炊飯ジャーの場合を例にとると、内釜が一緒など、共通パーツを使っているモデルはあります。しかし、外観を変えるということは、かなり内部をいじる必要があります。このためほぼオリジナルです。

黒と白

―― 2020年には、炊飯器と電動ポットに白色を追加しているが、理由は?

象印・堀本  ユーザーニーズです。当時、キッチン家電を中心に、黒が流行り始めた時代。しかし、キッチン家電は本来、白物と呼ばれる家電に属します。当然、キッチン家電は白で統一したい、というニーズも根強くあり、白色が欲しいという声が上がりました。実際、白の割合は多く、発売後の比率では40〜50%ホワイト柄が売れています。

追加ラインナップされた白い炊飯ジャー。黒と違うイメージを持つ

 2021年は、調理家電のラインナップを充実させるべく、時短として認知さることが多い自動調理鍋を追加する。ただ象印モデルは、圧力鍋ではないので、正確には「時短」ではなく「ほったらかし」の方だ。

 深鍋タイプの自動調理鍋は、あると便利だ。スープ、煮込み、煮付け、なんでも簡単にできる。象印の内鍋は、蓄熱熱性の高い「ホーロー」を使っているなど、会社の昔とリンクしているところ、またジップロックなどのジッパー付き保存袋を使うことにより、パック調理機能なども付けられている。こちらは違う料理を一度に作ることができるため、場合によっては時短になる。


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