米国のトランプ大統領はイランとの核交渉の決裂に備え、限定的なイラン攻撃に傾いている。協議は2月26日、スイスのジュネーブで始まるが、米側は「核濃縮の完全停止」を要求、イラン側は濃縮の権利を確保しようと躍起で、合意は極めて難しい。
戦端が開かれた場合、イランは戦争の泥沼化を図り、11月の米中間選挙を“人質”に取る構え。攻撃は大統領にとっても大きな政治的リスクだ。
2段階攻撃か
トランプ大統領は2月18日、ホワイトハウスの状況分析室でイラン情勢をめぐる安全保障会議を招集した。出席者は大統領のほか、バンス副大統領、ルビオ国務長官、ラトクリフ中央情報局(CIA)長官、ケイン統合参謀本部議長、ワイルズ大統領首席補佐官だった。
会議の内容は発表されていないが、大統領はその後、イランへの限定的な攻撃を「検討中だ」と述べ、ジュネーブでの核協議が不調に終わった場合、イランに妥協を強いるため攻撃に踏み切る可能性が高いことを明らかにした。大統領はその後も、合意に至らなければイランにとって「非常に悪い日」が訪れるだろうとイランへの武力行使のメッセージを送り続けた。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、大統領の方針は標的を絞った限定的な攻撃をまず行い、それでもイラン側が屈服しなければ、最高指導者ハメネイ師を頂点とする「イスラム体制」の転覆を狙った大規模攻撃を実行する、という「2段構え」だ。当初の限定攻撃の標的には、革命防衛隊本部や核・弾頭ミサイル関連施設が含まれる見通し。
しかし、ワシントン・ポストによると、ケイン統合参謀本部議長がこの方針に対し、米軍の弾薬の備蓄がイスラエルとウクライナ支援で減少している上、ペルシャ湾岸の同盟国の支援が十分ではないと指摘。作戦と米兵に著しい危険が及ぶと警告した。大統領の楽観的な考えに制服組が異を唱えた形になった。
