2026年2月18日(水)

教養としての中東情勢

2026年2月18日

 米国のトランプ大統領は核交渉でイランに圧力を掛けるため、原子力空母ジェラルド・フォードに出動を命令、イラン沖に展開する空母打撃群は強大な2隻態勢になる見通しだ。2月17日から始まる核交渉は「イランのウラン濃縮施設を国外に移設」することで合意できるかが焦点だが、軍部によるクーデターの憶測も出始めるなどイラン情勢の緊迫度が再び高まってきた。

(ロイター/アフロ)

「体制転換が最善」

 トランプ大統領はこれまで、他国を転覆させるような関与はしないなどとして、イラクやアフガニスタンに介入を続けてきた歴代政権を批判してきた。だが、2期目に入ってその方針を転換。1月にはベネズエラに特殊部隊を送り込んでマドゥロ大統領を拉致、国際法違反との批判には「私に国際法は必要ない」とまで言い切った。

 イランに対しても、かつて無敵を誇ったスペインの大艦隊「アルマダ」になぞらえ、「アルマダを送り込む」としてイラン沖のアラビア海に原子力空母エブラハム・リンカーンを中核とする空母打撃群を派遣した。リンカーンの他、ミサイル駆逐艦8隻などが展開しており、2月3日には空母に接近してきたイランの無人機をF35ステルス戦闘機が撃墜する事態に発展した。

 大統領は「(聖職者支配の)体制転換が起きれば最善」として、交渉がうまくいかなかった場合、イランに軍事力を行使して最高指導者ハメネイ師の政権を転覆させるとの意向を明確にした。さらにカリブ海でベネズエラやキューバ対応の任務に就いていた最新鋭の原子力空母ジェラルド・フォードにもイラン海域への出動を命じた。

 航空戦力もF35などの艦載機の他、空中給油機やB2爆撃機も臨戦態勢に入った。また攻撃ばかりではなく、イランのミサイル攻撃に備えて防衛態勢の強化も開始。カタールのアル・ウデイド空軍基地やバーレーンなど中東11カ国には米軍約4万人が駐留しているが、ミサイル防空システム「パトリオット」などの配備も進めている。

 イラン核施設を攻撃した昨年6月の「12日間戦争」の再来を期待しているのがイスラエルのネタニヤフ首相だ。首相は2月11日にホワイトハウスでトランプ大統領と会談。トランプ氏は会談後、意見が一致しなかったことを明らかにしたが、首相が交渉ではなく軍事力でイランを屈服させるよう求めたのに対し、大統領が「まずは交渉」との慎重な姿勢を示したもようだ。


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