首相が懸念しているのは米国が核に絞って協議し、弾道ミサイル開発の制限が後回しにされることだ。イスラエルまで届く弾道ミサイルはイスラエルにとって最大の脅威だからだ。米CBS放送によると、大統領は昨年末の首相との会談で、交渉が決裂した場合、イスラエルの弾道ミサイル関連施設攻撃を支持すると伝えたという。
イランの優先度は弾道ミサイル
イランはこうした米国の攻勢に攻撃を回避できないかと必死だ。2月6日、「12日間戦争」で途絶えた核交渉を再開させたのもそのためだ。
イランは米国や国連による度重なる制裁で、経済はどん底状態。通貨リアルの暴落でインフレが激化、庶民の生活は困窮を極めている。
昨年末からの大規模な反政府デモはこうした背景で起きた。結果、市民ら5000人以上が弾圧で犠牲になった。
米国は主にイランに対し、「核開発の放棄」「弾道ミサイル開発制限」「中東各地の武装勢力への支援停止」の3つを要求。イランは弾道ミサイルの開発制限を拒否する一方、米国が「平和目的で核開発を行う権利」を認め、「早期の制裁解除」を譲歩の見返りとして求めている。
6日の協議では米国が、ウラン濃縮施設をイラン国外に建設してイランと周辺国が共同管理する構想を示し、イランが前向きな姿勢を示したという。17日の交渉ではこの点が焦点で、合意には「1カ月程度かかる」(トランプ氏)と予想されている。建設場所はトルコが想定されている。
イランは「12日間戦争」前には濃縮度60%のウランを約400キロ保有していた。これは核爆弾9個分に当たる量だが、戦争によってその行方は不明となっている。イランが戦争で破壊される前に他の場所に移したと説明しているが、米国やイスラエルはその行方を確定していない。
ニューヨーク・タイムズによると、イランは「12日間戦争」後に破壊された核関連施設と弾道ミサイル開発施設の再建を進め、特に弾道ミサイル製造工場などの修復を急いだ。これまでにテヘランから東400キロのシャールードのミサイル工場などミサイル関連の施設のほとんどは再建したようだ。
これと対照的に核関連施設は部分的に再建されているにすぎない。この理由は、核施設は攻撃で放射能汚染の危険があること、イスファハン、ナタンズ、フォルドの施設は大きな損害を受け、特に山中に建設されていたフォルドの施設は地中貫通弾による破壊がすさまじいことが挙げられている。イランが弾道ミサイル関連施設の再建を急いだのは弾道ミサイルが現在、イランが保有する唯一の「報復の切り札」だからだ。
