2026年2月18日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年2月18日

 多くのメディアが欧州連合(EU)インド間の自由貿易協定(FTA)締結のみに焦点をあてて報じる中、FTAと同時に合意された「安全保障・防衛パートナーシップ」に着目し、その背景等を、2026年1月28日付フォーリン・ポリシーでガングリー同誌コラムニストが解説している。

左から欧州理事会アントニオ・コスタ議長、インドのナレンドラ・モディ首相、欧州委員会ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(AP/アフロ)

 多くのメディアは 長年の交渉の末締結されたインドと EUのFTAに注目したが、両者間では「安全保障・防衛パートナーシップ」も合意されている。これはEUとインドが海洋安全保障、テロ対策、サイバー防衛等の分野で協力を強化するというものだ。

 トランプがインドとEUに深刻な混乱をもたらさなければ、今回の合意が成立することはなかったかもしれない。4兆ドル規模の経済と急増する防衛需要を抱えるインドはEUに目を向けた。

 インドの防衛需要は深刻で、特にパキスタンと中国との敵対関係に直面している。過去5年間、インドは両国と軍事紛争を経験した。

 インドの防衛に関しては、特に冷戦期には、ソ連がインドの防衛需要の大部分を供給してきた。今もロシアは重要な兵器供給国である。

 しかし、この10年の間、インドは供給源の多様化に着手してきた。さらに最近では、ウクライナ戦争におけるロシア自身の防衛需要が既存の防衛契約の履行を阻んでいる。その結果、インドは防衛需要を満たすため、米国や欧州諸国、特にフランスへの依存度を高めた。

 08年以降、インドは米国から200億ドル以上の軍装備を購入することに合意している。16 年にはフランス製ダッソー・ラファール36機を購入し、さらに26機を購入する74億ドルの契約を締結した。

 一方、インドはここ数カ月、戦闘車両、対戦車ミサイル、海軍偵察機の購入について米国との交渉を締結したが、トランプ政権による一部品目への最大50%の関税措置により、これらの交渉は中断されているようだ。インドは既にフランスと実務的な防衛関係を築いているため、今後もそれを強化していくだろう。


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