2026年2月6日(金)

WEDGE REPORT

2026年2月6日

 アサド政権崩壊から1年。中東シリアは、いま岐路に立っている。復興への希望はつながれているものの、少数派が抱いた不安は「大量殺害」という最悪の形で現実となった。激動する中東における主導権争いも絡み、モザイク国家の将来像はいまだ輪郭を結んでいない。政権崩壊後に続き再びシリアに入った筆者が現在地を報告し、日本を含む国際社会がどう向き合うべきか探った。

アサド政権を崩壊させた大規模侵攻から1周年を祝う人々。「分裂は受け入れられない」と訴える紙も=25年11月28日、北部アレッポ(筆者撮影以下同)

 その夜、日付が変わっても車のクラクションが途切れることはなかった。

 半世紀以上に及んだ独裁政権を、わずか12日間で崩壊させた反体制派の大規模侵攻。その1周年を祝う催しが全土で開かれた2025年11月末、北部アレッポ中心部の広場は深夜まで高揚感に包まれていた。車窓や荷台から身を乗り出した若者たちが、いまや国旗となった旧反体制派の「革命旗」を振る。

 衣類販売業ムハンマド・サブリ(33歳)は「前は囚人のような生活でしたが、いまは自由に歩き、やりたいことができます」と一変した暮らしを振り返った。日中の集会では「シリアはひとつ」と結束が呼びかけられた。

 10カ月ぶりに訪ねたアレッポには、復興の息吹が随所に感じられた。

 がれきは減り、更地が増え、ビルの屋上には太陽光パネルがずらりと並ぶ。市場や繁華街にもにぎわいが戻りつつある。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、政権崩壊後に国外から約120万人の難民が帰還し、国内の避難先からも約190万人が帰郷した。家を追われた人々のおよそ4人に1人が戻った計算になる。


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