2026年6月6日(土)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2026年6月6日

 2030年代に進水を目指す韓国の国産原子力潜水艦建造が「張保皐N事業」と命名された。40年規模の国家事業、4万人超の雇用創出を目論む。陸に目を転じると、創設80周年を迎え、軍事政権期には権力への登竜門だった陸軍士官学校が技術指向に転換しようとしている。 

原潜建造を「張保皐N事業」と命名

 李在明大統領は5月26日、慶尚南道・鎮海の海軍潜水艦司令部で第1回未来国防戦略委員会を主宰した。大統領自らが委員長を務め、関係閣僚や各軍参謀総長、造船・原子力業界の関係者、海軍士官学校生徒ら約160人が出席。単なる諮問機関ではなく、国防の将来像を直接設計する場と位置づけ、民間の専門性と政府の実行力を結びつける狙いがある。

潜水艦を訪問する李在明大統領(青瓦台ホームページより)

 会議では3つの柱が議論された。第一は原子力潜水艦の開発基本計画で、韓国初の潜水艦「張保皐(チャン・ボゴ)」の名を継ぐ「張保皐N事業」と命名された。低濃縮ウランを用い国内技術で建造し、2030年代中盤に1番艦を進水、後半以降に戦力化する計画。核兵器は保有も開発もせず、米国との緊密な協議と国際原子力機関(IAEA)の安全措置の下で進めると約束した。国防部は造船・原子力・防衛産業をつなぐ40年規模の国家事業と位置づけ、4万人超の雇用創出を見込む。

 第二は戦時作戦統制権の早期回復で、安圭伯国防部長官は年内にロードマップを完成させ、第58回韓米安保協議会議で未来連合司令部の運用能力を検証した上で、転換時期を大統領に建議すると説明した。最後はドローンやロボットが戦う「スマート強軍」への転換である。

 背景には、兵力資源の急減と戦場のAI化という構造変化がある。前政権が掲げた「国防革新4.0」もAIや科学技術を重視した点では連続性がある。だが尹錫悦政権が韓米同盟と米国の拡張抑止を前面に出し、作戦統制権の移管を急がなかったのに対し、李政権は「自主国防」を旗印に、その回復を中心課題に据える。


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