2026年7月6日(月)

エネルギー依存国家・日本

2026年7月6日

 「完全に危険度をゼロにするためには、原発をやめるしかないというのは誰だって知っているし、それは昔から分かっていることなのです。とはいえ、人間の歴史はそもそも危険との共存でした」──。

(左)日本人と原子力
山本七平著 ワールドフォトプレス
(右)「反原発」異論
吉本隆明著 論創社

 戦後最も難解な本と評される『共同幻想論』を書いた思想家の吉本隆明は、東日本大震災後に高まった「反原発」の声に対して、様々なメディアを通じて、反「反核」、反「反原発」の考えを発信し続けた。そうした吉本の主張を一冊にまとめたのが、2015年に出版された『「反原発」異論』である。

 吉本は言う。

 「危ないから壊して捨てる。この処方箋はとてもわかりやすいものです。しかし、そのわかりやすさや早急さに引っ張られ、僕ら庶民が自分の頭で考えることをやめてしまうのは最もいけないことだと思います。

 何もかもナシにしちゃえば、人間は安全というのは大間違いです」

 同書の編者・宮下和夫氏のあとがきにもあるように、吉本は1982年刊の『「反核」異論』以来、同様の主張を貫き、世の中や表現者から批判があろうと発言するという姿勢を一度も崩したことはなかった。

 原子力と人類、そして技術のあり方を考えていたのは吉本だけではない。『「空気」の研究』などで知られる評論家の山本七平もその一人だ。山本は第一次石油危機後の76年、『日本人と原子力』を出版し、こう述べている。

 「日本における原子力問題とは、実は、原子力そのものの問題よりも、常に、エネルギー問題への将来の見通しの悪さと、見通しはあってもそれに対処しにくい社会の固定化に起因している」

 「中東の石油が枯渇せず、タンカーという名の両者のパイプラインが切断されない限り日本は存続するが、もしこれが切断されれば、日本は『電源を切られた植物人間』のように死滅することを意味している」

 日本社会の脆弱性を鋭く指摘し、まるで、現代のホルムズ海峡危機を予言しているかのようである。


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