低炭素燃料として知られるエタノール(アルコール)が世界中の自動車のガソリンに活用されているが、その勢いはさらに強まっている。米国では、海運の船舶利用にも食指が動き始めた。
筆者は6月上旬、米国を訪れた。そこで見えたのは、エタノールが中東情勢という逆境に強いことだった。
混合ガソリン「E10」が世界中で普及
米国取材にあたって、疑問が2つあった。「中東情勢の影響で世界中の燃料が上がる中、エタノールはどうなったのか」、そして「エタノールが大型船舶の燃料として本当に実現できるのか」だ。
この疑問に応える前に、まずエタノールの基本知識を押さえておきたい。
日本ではほとんど知られていないが、世界ではエタノールが混合された「エタノール混合ガソリン」が広く普及している。エタノールが10%混合されたガソリン「E10」は、米国をはじめ、カナダ、英国、スペイン、ドイツ、インド、タイ、フィリピン、ベトナム、ブラジル、アルゼンチンなどで活用されている。
これに対し、日本では名古屋市の一部のガソリンスタンドで「E7」が販売されているに過ぎない。世界からは周回遅れだ。
自動車の燃料として普及するエタノールは、トウモロコシやサトウキビなど植物の糖質を発酵して作られる。燃料として燃やせば、二酸化炭素(CO2)が発生するが、これはもともと植物が光合成で取り込んだものなので、地球全体では増えも減りもしない「カーボンニュートラル」となる。地球温暖化防止の低炭素燃料として普及してきた。
