「E10」に比べ約2割安い「E85」
今年2月下旬、米・イスラエルとイランが戦争状態に陥り、ホルムズ海峡の封鎖で世界中の原油が跳ね上がった。これがエタノールの生産、価格にどう影響したのだろうか。
6月2日、イリノイ州の首都シカゴ郊外のガソリンスタンドでは、ガソリンの価格は1ガロン(約3.78リットル)約3.9ドル。1リットルあたり約1ドルだ。米国ではすでにガソリンと言えば、「E10」が標準燃料のため、エタノールとガソリンの価格差は分からない。
米国では「E15」や「E85」も売られている。エタノールの生産事業者で組織する団体「グロースエナジー」(本部・ワシントンD.C.)によると、「E85」の価格は全米平均で1ガロンあたり約3.2ドル。「E10」ガソリンの価格が約4ドルのため、エタノールが85%を占める「E85」は「E10」に比べて、約2割も安い。エタノールが多いガソリンほど安いのだ。
エタノールがガソリンよりも安いことは、メキシコ湾から海外へ出荷される輸出価格(FOB価格=輸出港で貨物を船に積み込むまでの費用)を見ても分かる。ガソリンの輸出価格が1リットルあたり約86セントなのに対し、エタノールの輸出価格は約55セントと約4割も低い(アメリカ穀物バイオプロダクツ協会調べ)。
生産性の上昇がエタノールの安定を支える
エタノールの生産工場は全米に約200カ所ある。工場の稼働に化石燃料を使うため、原油高でエタノールの生産コストも上がり、ガソリンに対する優位性がなくなっているのではと思っていたが、その予想は見事にはずれた。
なぜ、エタノールの価格はガソリンより安いのか。米国農務省のチーフエコノミスト、ジェフリー・オハラ氏は「中東情勢の影響でガソリンとエタノールの価格はどちらも上がったが、それでもエタノールはガソリンよりも安い。それはエタノールの原料となるトウモロコシの単位面積あたりの収量がずっと上昇しているからだ。米国のエタノール生産はまだまだ供給余力がある」と、トウモロコシの生産性の上昇がエタノールの安定価格を支えていることを強調した。
