2026年6月29日(月)

エネルギー依存国家・日本

2026年6月29日

 日本の原子力政策、その中でも、〝出口〟政策の行き詰まりが続いている。

 全国の原子力発電所などで貯蔵する使用済み燃料の割合は容量の約8割に達した。資源小国としてウランを有効に活用するために、使用済み燃料からウランやプルトニウムを取り出し(再処理)、再利用する「核燃料サイクル」構想はいまだ実現していない。

 その〝中心地〟といえる青森県六ケ所村の再処理工場は、当初1997年に予定された竣工がこれまでに27回延期されている。同県宮下宗一郎知事はそのことを念頭に2026年度のむつ市の中間貯蔵施設への使用済み燃料の搬入を認めていない(6月5日時点)。このままでは、日本の原発はいずれ、停止せざるを得なくなる。出口政策の現状と課題を探るべく、現場を歩いた。

間近に迫る竣工を目指す
六ケ所村・再処理工場

 本州最北端に位置する青森県・下北半島。三方を津軽海峡、太平洋、陸奥湾に囲まれたこの地は、豊かな自然と文化を育んできた。マグロの一本釣りで有名な大間町や日本三大霊場の一つとされる恐山はその象徴的な存在だ。一方、下北半島は核燃料サイクルの確立に欠かせない施設が集積する地域でもある。5月中旬、陸奥湾から吹く海風で回る風力発電や、各地に点在する太陽光パネルを横目に車を走らせると、六ケ所村の「原子燃料サイクル施設」に到着した。

青森県・六ケ所村の原子燃料サイクル施設。写真左奥には国内第1号の石油備蓄基地も見える(JAPAN NUCLEAR FUEL LIMITED)

 東京ドーム約160個分の広大な土地に、ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センター、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター、再処理工場、MOX燃料工場の5施設が集積する。これだけの設備が揃う場所は世界でも唯一であり、世界各国からも視察が絶えない。

 再処理の工程で生じる核分裂生成物を含む廃液を「高レベル放射性廃棄物」といい、これをガラス原料と混ぜ合わせて溶融し、ステンレス鋼製容器(キャニスター)に流し込み、冷却して固めてできるのが「ガラス固化体(いわゆる「核のゴミ」)」だ。その製造に苦労した時代があり、再処理工場が完成に至らない理由はいまだ「技術的な課題」にあると印象付けるような報道も散見される。実際、どうなのか。六ケ所げんねん企画サイクル広報事業部ディレクターの山田立哉さんはこう話す。

貯蔵ピットには現在、海外から返還されたガラス固化体1830本が貯蔵されている(WEDGE)

 「廃液に含まれる成分の影響でガラス溶融炉内に堆積物が発生し、安定的な運転を実現するのに時間を要してきたことは事実です。しかし、その原因は13年の時点で解明し技術は確立できており、今は改良型のガラス溶融炉の開発に取り組んでいます」

開発に取り組む新型ガラス溶融炉を前に、改良点を説明する山田立哉さん(WEDGE) 写真を拡大

 実際に新旧のガラス溶融炉の試験記録映像を見せてもらうと、廃液がキャニスターに注がれる所要時間も圧倒的に短縮されており、等速で、安定して廃液が流れていた。

 足元の課題は、13年に施行された「新規制基準の審査」への対応である。東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえ、重大事故への対策だけでなく竜巻対策や火災・爆発対策の強化なども加わった〝世界一厳しい〟基準だ。山田さんによれば、「原発6~7基分に相当する物量」がこの施設にあり、1カ所にこれだけの設備を集めた拠点は前例がないため、審査には相当の時間を要している。

 この点、六ケ所村で加工されたМOX燃料を大量に消費(プルサーマル発電)できるよう設計された原子炉を持つ電源開発が建設中の大間原発も同じ課題に直面しており、30年度の運転開始を目指している。


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