2026年2月28日(土)

脳が長持ちする会話

2026年2月28日

漫画家・コラムニストで『世界はハラスメントでできている』(光文社新書)の著者である辛酸なめ子さんと、認知症予防研究者で『脳が長持ちする会話』(ウェッジ)の著者である大武美保子さんが、現代における脳の健康とコミュニケーションについて深掘り対談。昭和世代の「板挟み」感情や情報過多時代の脳のケア、認知症への不安、そして脳を長持ちさせる具体的な会話術から食事・睡眠・アウトプットの重要性まで、多岐にわたるテーマを2回にわたって語り尽くします。後編では辛酸さんが脳を長持ちさせる会話法「共想法」を実際に試します。

顕著になった昭和生まれの“板挟み”感情

大武: 私たちが女子学院を卒業してから30年ほど経ちますが、この30年で社会の常識がずいぶん変わりましたよね。

辛酸: 本当にそう思います。いまは何でもハラスメントになり得る、というか…。昭和生まれの私たちは、理不尽なことに耐えてきた面があります。体罰があったり、給食を無理やり食べさせさせられたり…。そうした積み重ねの中で生きてきた世代ですよね。

 でも、下の世代には「やさしくするのが基本」になっています。上に目を向ければ古い価値観で圧力がかかり、下からは配慮が求められる。そこに適応しきれない部分もあり、「板挟み」だなと感じます。私たちの世代は、もしかしたら神からハラスメントを受けているのかもしれません(笑)。

大武: 生まれるタイミングは選べませんからね。いま「脳を長持ちさせる」研究のために、高齢の方やさまざまな世代の方と一緒にいる機会があるのですが、違う世代でも同じ時代の空気を吸ってきた部分があることを強く感じます。

辛酸: 以前にも共想法の会で、81歳と18歳の違いについてシニア世代の男性が紙に書いて持ってこられていて面白かったです。「恋に溺れるのが18歳、風呂で溺れるのが81歳」とか。世代差は深刻な問題に見えるけれど、見方によっては発見にもつながるんですよね。私もあとから「脈があるかないか気になるのが18歳、脈の有無が生死に関わるのが81歳」とかいろいろ考えてしまいました。

大武: そういう場にいると、「みんなそれぞれ全然違う」ことを前提にしながらも、ある世代に共通する空気が確かにあることがわかります。どの時代に生まれるかで、当たり前の基準は変わってしまうものですね。


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